人生は指導者次第

つぶやき

 孫が高校時代にサッカーをやっていたが、全国的な大会でなかなかいい成績をあげることができなかった。

 頭のいい子だけが集まる高校だから、サッカーなどのスポーツが弱いという事は、頭のいい学校であることの証明で、強いことはそうでない学校に任せておけばいいと思っていた。

 しかし娘は監督が悪いと言う。監督がちゃんとした人なら、どんなに弱いチームでも強くなると言うのだ。

 そういう話を聞いて、いろいろ思い出した。

 古いところで三原脩監督と大洋ホエールズ。毎年最下位の大洋がこともあろうに三原監督に代わったとたんに優勝してしまった。

 同じ野球では広岡監督と西武ライオンズもそうであった。広岡監督就任1年目にして日本リーグを制覇。それまでの西武は堤さんがエラそうなだけで、ぐずぐずとらちがあかなかった。

 野村監督のヤクルトも、万年最下位のチームがあれよあれよという間に優勝してしまった。ヤクルトが優勝するなど考えられなかった。

 指導者による優勝ということではなんといっても大松監督とニチボー貝塚による、オリンピック女子バレーボール金メダル。

 絶対勝てっこないソビエトのバレーをストレートで破って優勝。東洋の魔女と呼ばれたが、魔女以外に考えられないことであった。

 ソビエトの強烈なスパイクを受けるには走って行っては間に合わない。体を飛び込ませて捨て身で受ける。回転レシーブを発案する。
 
 大松さんは選手を人間と思わなかったようだ。人間と思ったらとても出来そうもない練習を選手に強いた。

 しかし大松さんは6人の選手を交代させることは一度もしなかったらしい。最初から最後まで、ニチボー貝塚で育てた選手だけで戦ったようだ。
 
 選手たちも苦労が報われたことになる。しかし同じニチボー貝塚で、同じ苦しい練習に耐えた人でも、一度も試合に出られなかった人もいたらしい。

 指導者によって一流と呼ばれるようになったものにオーケストラがある。
 有名なところではジョージ・セルとクリーブランドオーケストラ。もっと古くはメンゲルベルグとアムスデルダムオーケストラ。

 しかし、指揮者や監督によって集団が一流になるには、指導者の偏屈さとか異常さが指摘され場合も多い。犠牲者も出る。

 あまりスポーツ関係のことは知らないが、野球の場合監督が変われば選手はトレードとか契約更改なしという事になる。生活に関わることである。

 オーケストラの場合も露骨であるらしい。あらためて団員のオーデイションを行って、指揮者の好みに合わないものは退団させるか、本番に出演させないという事をするそうだ。

 ヨーロッパの著名な指揮者に自分の演奏をけちょんけちょんにけなされて、精神的疾患を発症した日本のプロプレーヤーがいた。

 音楽の好みが異なるだけのことなのだが、何事もプロの世界は「みんななかよく」はありえないことらしい。

 指導者に恵まれてニチボー貝塚の選手はその後晴れがましい人生を送った。大松監督がいなければごく普通の人生を送ったはず。

 大松さんは偉かったなと思う半分、ひどいことをした人だとも思う。 

 だがあれほどの非情な練習を選手に強いた裏には、何か異常があったはず。
 
 ネットで調べてみると大松さんは、日本軍がほぼ全滅した白骨街道といわれるインパール作戦の数少ない生き残りだった。地獄を見たのだ。

 生死をさまよった人だからできたことである。

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