40年も昔の話になるが、兄夫婦が初めて海外旅行をしたとき、母は「骨を拾いに行かなきゃなんねいな」と兄夫婦の前で言っていた。
家内の母が入院した時、「こんな古い建物では地震が来たら死んでしまう」と身動き出来ない義母に母は話しかけていた。
早く夫を亡くし、3人の子供を育てることに一生懸命であったことは分かっているが、この母は一体どういう考えを持っている人なのかと思うことが多かった。
苦労して生きてきた人だが、愚かな母だったなと思い出すこともある。
20歳を過ぎたころから母とはほとんど話をしたことがない。今の言葉で言えばウザイということだろうか。
母の悪口を書いてしまったが、どんなにいい人だとしても、こういうことを口にしては親でも呆れてしまう。こんな心配の仕方をするなら何も言わないほうがいい。
人と話を交わさないということは、その人のことが嫌いだからだと思う。他に理由がない。
最初から会話が成り立たないような準備をして人に接する人もいる。これは無視とは違う。
先回りをしてその人と話をしなくて済むようにする人のことである。変な言い方だがそういう人もいる。あまりいい人ではない
9月はお彼岸。親・兄弟・従弟。どうやら最後の生き残りかも知れない。
家内が町で知り合いに会うと亡くなった人の話ばかりになる。
高齢者が亡くなった話は仕方が無いで済ませるが、若い人の場合は聞いていてつらくなる。
娘の近所の友だちが先月夫と高校生の男の子を残して48歳で亡くなったが、全くおなじように亡くなった娘さんの話を家内が聞いてきた。
以前私が住んでいたマンションの人だが、夫を5年ほど前に亡くし、こんどは娘さん。何のために生きてきたのかと思うことが人生にはある。
今年1月94歳で亡くなった知人の奥さんは、「主人が口うるさくて困っている」という話を以前よく家内にしていた。
そのご主人が亡くなってどう過ごしているのだろうかと思っていたが、先日家内と会ったとき「寂しくてしょうがない」とこぼしていたらしい。
このご夫婦と知り合って40年近いが、夫婦で思い出旅行をするような人達ではない。なによりご主人はケチな人だった。
想い出旅行をしなくても、口うるさくても、ケチでも夫婦には思い出がある。
「寂しくてしょうがない」。歳とってひとりになって寂しいと思う以外何もない。本当に寂しいのだろうなと思う。


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