先まわりはあまりいことではない

つぶやき

 40年も昔の話になるが、兄夫婦が初めて海外旅行をしたとき、母は「飛行機が落っこちたら骨を拾いに行かなきゃなんねいな」と兄夫婦の前で言っていた。

 家内の母が入院した時、「こんな古い病院では地震が来たら下敷きになって死んでしまう」と、ベッドに寝たきりの義母に母は話しかけていた。

 何か考えがあっての言葉ではない。自分の心配をただ口に出すだけの人だった。愚かな人だった。

 ある若い母親とそのまだ幼い子供が我が家に遊びに来た時、家の前を通る車が危ないので私がなにかの配慮したことがある。

 その時私の配慮が分かったらしい若い母親は、私のすることを先回りをして私にその行動をさせなかった。「あんたのやることはウザイんだよ」という感じだった。イヤな女であった。
 
 家内が町で知り合いに会うと、亡くなった人の話ばかりになる。

 娘の近所の友だちが先月夫と高校生の男の子を残して48歳で亡くなったが、全くおなじように亡くなった娘さんの話を家内が聞いてきた。

 以前私が住んでいたマンションの人で、夫は5年ほど前に亡くなり、こんどは娘さん。何のために生きてきたのか分からないと言っていたという。

 今年1月94歳で亡くなった知人の奥さんは、「主人が口うるさくて困っている」という話を以前よく家内にしていた。

 そのご主人が亡くなってどう過ごしているのだろうかと思っていたが、先日家内と会ったとき「寂しくてしょうがない」とこぼしていたらしい。

 このご夫婦と知り合って40年近いが、夫婦で思い出旅行をするような人達ではない。なによりご主人はケチな人だった。

 「寂しくてしょうがない」。歳とって一人になって寂しいと思う以外何もない。本当に寂しいのだろうなと思う。

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