10時過ぎに豆腐を買いにときがわに向かう。このところの豆乳と豆腐を一緒に食べるのが好きになった。
豆乳は体にいいというから毛嫌いしていたが、家内が豆乳に豆腐を入れた小鉢を食卓に出すようになって、そのおいしさに感心した。
不便なところにある豆腐屋だが、今日は日曜日ということもあって結構な賑わい。休日の行楽地というという感じになっている。
この豆腐屋からときがわの山間部に向かう途中に人気のそば屋があるが、きょうは行くのをやめて、帰路とは反対の小川町に向かうことにした。
ずいぶん前のことだが、秩父から怖い思いをして峠を越えて、山里に降りて来たとき、「和紙の里」というところに着いたことがある。
ひょっとしてそこに近いのではないか。ナビに「わしのさと」と入れると出た。ここから30分くらい。
以前行ったときとは大分雰囲気が変わり、建物もすべて造り替えたようで観光地のようになっていた。道の駅との表示もある。
少し腹もすいたので施設を見る前に「そば・うどん」という店に入ったら満席。
店の40代くらいと思われる女性に「待って食べるほどおいしいですか?」と訊いたら、少し考えてから、笑いながら「おいしいです」と応える。
私はこういうリアクションが好きだから、私も笑いながら「待つことにします」と伝えた。だが値段は安かったが、味はいいリアクションではなかった。
施設の奥まったところに藁ぶき屋根の民家がある。なかなかの構えである。
こりゃあ入ってみなけりゃと杖を頼りに歩き始めた。
藁ぶき屋根の家を見るのは何年ぶりだろうか。ここは昔の民家を移築したもの。
昔の農家の土間には馬がいた。農家にとってはかけがえのない働き手。家族同様大事にしたのである。
紙すきがこの地域で盛んになったことから、馬屋を紙すきの作業場に変えたらしい。紙すきの村の歴史を物語る家である。
しかし堂々たる造りである。藁ぶき屋根の家だからぼろ屋ということではない。昔の民家はすごいものだと思う
しかし家の中は暗い。あえてそうしていると思うが、各部屋には20ワットくらいの電気がついている。昔の家はみんな20ワットだ。
明るくなったら働き、暗くなったら寝るのが昔の農家の生活。
土間の奥から声がする。聞こえにくくなった耳にもなんか聞こえる。
暗くて分からなかったが、目を凝らしてみると、おばあさんが「ジュースでも飲むか」と缶ジュースを手に持っている。
この家を案内するガイドさん。83歳という。
古い藁ぶき屋根の農家に古いおばあさん。私もその歳に近いからか、なにかしっくりした感じがした。
藁ぶき家屋が心の原点ということはないが、ああいう景色っていいなあと思う。


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