伊東四朗さんが来年90歳の誕生日をもって芸能界を引退するそうだ。
「眼、耳、脳、腰、膝…すべてが急速に退化」というのが引退の理由と言っている。
現在89歳。87歳くらいまでドラマに出ていたらしい。よくやっていたと思う。
芸能人の思い出話は訃報の時に報じられるが、引退を機に人々に語られるのもいいかもしれない。
本人も今までの芸能活動に賞賛の言葉が寄せられれば、いい気分で余生を過ごせるだろう。
このところ芸能人の訃報が続いている。それと反対に、同じ時代に生きてきた芸能人の消息が報じられなくなった。例えば永遠の若大将はどうしているのだろうか。
伊東四朗さんの引退発表が大きく報じられていたから、このブログにも何か書けるかと思ったが、なにも書くものが無い。
「申し訳ないが」という言葉を添えなければいけないのかもしれないが、伊東さんについて残っているものがなにも無いのである。
てんぷくトリオ、電線音頭、刑事役のドラマなどで同じ時代を生きた人だが、私の気持の中になにか残るような芸人さんではなかったという気がする。
いろいろな役を演じてきた人だが、ある意味では役に恵まれなかった、ということが言えるのではないだろうか。
演技者というのは、人間のみっともなさというものを表現しないと見る者の共感を得られない。
みっともなさというのはバカらしいということではなく、人間の本性のことである。
伊東さんと電線音頭でコンビを組んだ小松政夫さんは晩年近く、人生を表現する役を得ていた。いい役者になっていた。
ベンジャミン伊東では「バカなことをやっている」ということで喝采を浴びたがそれもいい。バカになり切ることを称賛する社会になっていたからだ。
だが、バカらしいことはどんな理屈をつけてもバカらしい。
伊東さんはバカらしさとともに、別のところでシリアスっぽいことをやっていたが、それがシリアスになっていなかった。人間を演じていないのだ。人間を演じる役に恵まれなかったということである。
「みんなウソなんだよ」ということを感じさせる芸人さんだった。
お疲れさん。



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