考えたくないことがいくつかあるが、その内のひとつに認知症がある。
母も叔母も認知症になり、施設で亡くなっている。ひどいものだった。
今朝5時前に目が覚めてテレビをつけると介護施設の映像。
若い女性の介護人が歯を磨こうとしても、高齢者は介護人の腕を振り払い磨かせようとしない。怒っているようだ。そんなシーンから見始めた。
施設の高齢者の顔には表情がない。人間が生きている表情ではない。
反応するという事は大事なことなのだと思う。
母は便を部屋の壁に塗り付けていたが、入居者のそういうシーンは映していなかった。
外国人が出ていたが、施設の運営者かと思ったらユマニチュード(Humanitude)という高齢者の介護理論を開発した人であった。
福岡の介護施設の職員たちにこのケアメソッドの実践を教えに来ていたらしい。そういえば大分前にテレビで見かけたことがある。
ユマニチュード理論は「人間らしさを守るケア」を目指す哲学と技法の体系だそうである。
核となる4つの柱
見る—優しく長く目を合わせる
話す—穏やかに肯定的に話す
触れる—優しく安心な触れ方
立つ—人間の尊厳につながる
これらを組み合わせることで、 認知症の人の不安や拒否を減らし、信頼関係を築くことを目的としている。
番組の後半に83歳の入居者を取り上げていた。70代の初め頃に夫が亡くなり、それからまもなく認知症を発症し、息子さんも面倒が見切れずにこの施設を頼ったらしい。
旦那さんとの写真が写っていたが、お二人ともなかなか知的な人であったと思われる。今でも表情はないが品のいい、いいところの奥様といった印象を受ける。
この番組でこの女性に「立つ」ことを試みる。この女性はずっと寝たままの状態で映っていた。
立って1歩でもいいから自分の足で歩く。
この女性が介護人に付き添われて歩くのである。その顔には笑いが浮かんでいた。立ち会った職員から拍手。なかなか感動的なシーンであった。
息子さんも何年かぶりに母の笑った顔を見たという。
いい番組であった。でもこの女性と私はそんなに歳が違わない。
感動的であったが、どうであっても認知症にはなりたくない。


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