今から20年程前、家内と私の共通の友人である女性が息子さんを亡くした。
息子さんは30才前後だったと思うが、結婚して間もない死であった。
友人は葬儀の費用をすべて負担し、葬儀屋の言うままに壮大な葬儀を行った。その額1000万円に近かったのではないだろうか。
慈しんできた息子の死。お金の問題ではなかったのであろう。葬儀屋からいろいろ提案があったとき、「すべてお任せします、最高の葬儀にしてください」と言ったらしい。彼女の気持ちがよく判る。
2年前に亡くなった義兄の葬儀に今もこだわっている。
義兄の遺志に「葬儀は簡素に」とあったとしても、遺体の首を斜めにしなければつっかえてしまうような葬儀場の物置のようなところで葬儀をした甥が許せないのである。
その場所は、葬儀場の入り口からは侵入禁止の立て看板が立っている先にあった。
坊さんの読経もなく、葬儀屋の社員と思われる男は、「では私はこれで」と、焼き場までついてくることもなかった。
甥のアホさに我慢ならない。
先日彼にメールを送った。
「亡くなったお父さんの遺志がどうであれ、あなたはどう父親を弔おうという意志があったのか」「あの惨めな葬儀が父親の葬儀に相応しいと思ったのか」
メールを送ってから家内のラインに着信があった。叔父さんからとは言わず、私のフルネームを書いて、こういう名の人からメールが入ったが、叔母さんは承知しているのか、という問い合わせである。妻は知らないことである。
過ぎてしまったが、遅れてもいいからせめて3回忌はきちんとやった方がいいとアドバイスすることがメールの目的であったが、果たして分かってくれるだろうか。
50にもなる男に注意するようなことではないが、あんな葬儀で息子としての義務を果たしたと思っているようでは情けない。
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