教員による児童生徒へのセクハラ行為は滅多にあるものではないと思っていたがそうでもないようだ。
中学3年生の時、数学の先生が夏休み後に学校に来なくなった。40代だったのか50代だったのか分からないが、若い先生ではない。
今では誰も掛けている縁なしの昔ながらの眼鏡をかけていて、目が細く、笑い顔を見せない人であったから、冷たい印象を与える人であった。
1年生の頃から学年主任で、昼休みには昼礼という学年集会を開き、主に風紀に関することを厳しい口調で生徒に訓示をしていた。
中学3年生の夏休み後となれば受験を控え、生徒も親もいろいろ気をもむときであるが、その時に学年主任の先生が突然学校に来なくなった。
学校からは生徒に対し何の説明もない。父兄からの問い合わせはあったものと思われるが、私の母に説明書なるものは届かなかった。
生徒たちの間に、先生が2年生の女子生徒に変なことをした、といううわさが広まった。
この女子生徒は背も高く、体つきも中学生とは思えないほど大人びた子であったが、しかしませているということではなく、成績もよく清楚で控え目な美人であった。
この女子生徒は放送クラブに入っていて、問題の先生はそのクラブの顧問であった。「夏休みのクラブ活動の放送室で先生が女子生徒に…」、ということらしい。
卒業式までその先生は学校に来ることはなく、退職したのか懲戒免職になったのか転属になったのか、このことに関する情報はその後も一切学校から明らかにされることはなかった。
卒業後何年かして、シュターツカペレ・ベルリンの演奏会が新宿の厚生年金会館であった時、偶然にも先生にお目にかかった。
担任になったことは一度もなかったが、私のことを憶えていて、一言二言話を交わしたことがある。
あの先生が今で言うセクハラをしたことになる。今でも信じがたいが、風貌がAV男優になりたかったと言う自民党の議員さんにそっくりなことから、あり得ないことではないな、と思うようになった。
卒業記念アルバムには「昼礼の人」として、遠くを見つめる先生のスナップ写真を特別に掲載した。
「横浜市教委 教員のわいせつ事件裁判で職員動員し傍聴席埋める」
という記事が今朝の新聞にあった。昨夜からテレビでも報道されていることである。
横浜市教育委員会が教員による児童や生徒へのわいせつ事件の裁判で、一般の人が傍聴できないよう、職員を動員して傍聴席を埋めていたというのだ。それも今回が初めていうことではない。職員には日当を払っていた
市教委は被害者のプライバシーを守るためだったとしているが、教員以外の者が加害者の場合は傍聴していないという。
傍聴権の侵害ということになるが、そんなことまでして本当に被害者のプライバシーを守ろうとしたのであろうか。そんなはずはない。
このニュースを聞いた時、教育委員会らしいな、と思った。臭いものを表に出さないのが教育委員会である。日本中どこの教育委員会も、なにかどこからか強い圧力を受けているように見える。やること、考えることが皆同じなのである。なにを守ろうとしたのか。言うまでもない。(了)
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