夜霧のブルース

つぶやき

 「夢のすまろか ほんきゅの街か」。酔った夜には意味の知らない歌が浮かぶ。

 いつもの公園でのウォーキングを終えて、家内は「なんとかタクシー」という映画を見に行った。倍賞千恵子さんが出るらしい。あの人はいくつになるのか。

 「すまろ」(四馬路)は上海の通りの名であるが歓楽街のことを言うらしく、「ほんきゅ」(虹口)はその対岸にある日本人街のことらしい。

 戦前から戦後にかけて上海を歌った歌謡曲が多い。「上海帰りのリル」などという歌はその代表と言っていいのだろう。
 
 あの時代、上海という街は日本人にとってどういう街であったのか。中国なのに日本人の思い入れが深い。そういう時代であったということだと思うが、深く知っては面倒だという気がする。

 「可愛いあの娘が 夜霧の中へ 投げた涙の リラの花」
 「リラの花散る 今宵は 君を想い出す」

 この2つの歌詞は同じ曲ではない。1行目は「夜霧のブルース」、2行目は「上海ブルース」。いずれも歌の舞台は上海。リラの花とはどんな花なのか。

 上海まで行って「可愛いあの娘を 今宵は 君を想い出す」
 いい時代だったのか。退廃の時代だったのか。

 「上海帰りのリル」はハマのキャバレーにいた。どうしても歌は水商売になってしまうようだ。
 ハマは横浜のことらしい。

 「夢の四馬路(スマロ)の 霧降る中で何もいわずに 別れた瞳」
 水商売の女性は何も言わずに別れる。他人には言えない事情があるから水商売をしているのである。

 だが、「暗い運命(さだめ)は 二人でわけて 共に暮らそう 昔のままで」
 泣かせる歌詞ではないか。これほどの詞は以後日本の歌謡曲にはない。 

 この歌詞に泣けると言ってもそういう思いをしたわけではない。これもまた面倒な話はしたくない。男はロマン。ロマンは幻想。

 幻想交響曲を初めて聞いた時あのワルツのメロデイに衝撃を受けた。今でこそいいかげんな人生を送っているが、若い頃は感受性が豊かであった。あの衝撃はホンモノ。

 また明日がくる。高齢の身には明日が来ても何もない。気持ちのバランスだけは保たなければと思う。

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