人生は後悔

つぶやき

 12月も残り2週間を切り、新聞やテレビでは今年の訃報という時期である。

 人の死というものはそんなに記憶に残るものではないな、と思うが、記憶に残らないのは高齢のせいかもしれない。

 昨日の夕刊2面に大きく小倉智昭さんの追悼記事があった。
 「批判を恐れず、ときに辛辣なコメントで社会問題を斬る様子はおなじみだった」という人であったらしい。私は現役時代の小倉さんをあまり知らない。

 小倉さんのことになるとがんの話になってしまう。膀胱がんの発症と肺、腎盂への転移。病気を語る姿を何度か見たことがあるが、いつも元気で病気に立ち向かっているように見えた。

 新聞の見出しは、「正直に 誠実に 語った 『後悔』」
 小倉さんには2つの後悔があるという。ひとつは膀胱がんの全摘をしなかったこと。もうひとつはタバコである。タバコは1日2箱から3箱吸っていたらしい。

 膀胱がんの全摘をしなかったのは男性機能を失うことが嫌だったから、と述べている。「情けないよね、命よりそっちの方を優先するなんて」と悔やんでいた。そのときは、そう思うほどまだ元気であったということであろう。
 
 タバコは30歳近くになって始めたということだから、私より喫煙歴は短い。
 タバコは肺がんではなく膀胱がんの原因になるとされている。
 喫煙者は、がんの発症原因を自ら体内に取り入れているのだから、喫煙を後悔しても後の祭りである。

 人生に、「先悔」とか「前悔」ということがあれば後悔することはないのだが、そういう言葉が存在しないことからして、人生とは後悔するようにできているのである、とわが身のことからも思う。

 新聞には、腕を組んで精悍に笑っている写真が掲載されていた。元気な姿しか小倉さんに対する記憶がない。
 そうであるから、がんとは本当に怖い病気なのだ、と思う。

コメント

タイトルとURLをコピーしました