毎年文化の日は晴天ということになっている。53年前も晴天であった。
今日は53回目の結婚記念日。ブログを見たら去年も、「52回目の結婚記念日」として掲載していた。
誕生日には生まれた記憶はないから何も思い出はないが、しかし結婚記念日はいろいろと想うものである。
結婚記念日は結婚した日のことではなく、結婚した日から今日までのことをいう日である。
結婚する前、銀座の大道易者に手相を見てもらったことがある。
妻とおでん屋で食事をしての帰り、松坂屋のあたりであるが、酔った目にインテリっぽく見えた易者であった。
「あなたは歳をとってからがいい」と易者は言ったらしい。
酔っていたから内容はほとんど覚えていない。ただこの言葉だけが記憶にある。
しかし考えてみれば若い男が手相を見てもらうのだから、今現在いい生活をしているはずがない。
「あなたは歳をとってからがいい」というのは、大道易者の決まり文句のようだ。
家内も若い頃、「あなたは歳をとってからがいい」と言われていたらしい。私たちの結婚は、「歳をとってからがいい」者同士の結婚ということになった。
人生は歳をとってからいいものでなければ生きてきた甲斐がない。
もちろん何が「いいもの」であるかは人様々である。
「何がいいものであるかは人様々である」から、みんな「いいもの」として人生を送ることができる。易者の言うことに間違いはなかった。
若い頃、毎日の食卓を見て、「私の稼ぎはこんなによかったろうか」と思っていた。
私の人生は歳をとる前から、「いいものであった」。
「歳をとってからがいい」者同士の結婚であったが、「歳をとってからもいい」結婚生活であることを易者は気がつかなかったようである。「歳をとってからもいい」では易代を取れないのかもしれない。
あの松坂屋もなくなってしまった。あの易者を思い出す、53回目の結婚記念日である。
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