昨日は成人の日であった。何年か前から1月の第2月曜日を成人の日とするようになったということだが、成人の日は1月15日がいい。
以前仕事では行ったことがあるが、ふらっと行ったことはない八王子に行くことにした。
国道16号線の標識に八王子という文字が書いてあるが、そのまま行けば八王子に着くということではなく、かなり入り組んだ道を通らなければたどり着けない所であった。
しかし大きな町である。私の住む埼玉の市は34万人ほどの人口であるが、八王子市は58万人に近い。
振り袖姿の女性を何人も見かける。みんな若くて綺麗である。履き慣れない草履であるから、きっと足袋の中は靴ずれしているはずである。草履ずれというべきか。あれは結構痛い。
私は成人式に行かなかったが、姉の成人式のことはよく覚えている。姉はその当時叔母の経営する喫茶店で働いていたが無給であった。
店は繁盛していたということはなく、叔母は家賃をずいぶん滞納していたはずである。
その叔母がどういうわけか、成人式の振り袖一式をプレゼントした。
姉はスマートというより体格のよかった人である。いかり肩というのか、要はきゃしゃな感じのする人ではない。ハッキリ言ってしまうと着物があまり似合わない。
母はそれをとても嫌がって、もっと肩を落として、とかいろいろ姉に注文を付けていた。しかし二人の後姿を見ると全く同じ肩の格好をしていた。
成人式に一緒に行く友達が近所にいるわけではなく、ひと通りの振り袖姿になって出かけていったが、なにか寂しく、哀しささえ感じる成人の日であった。
姉が亡くなってこの2月で5年が経つ。夫に恵まれ、贅沢な人生を送った人だが、若い頃は何の楽しみもなく、わずかな小遣いもなかった。
白いショールを見るとあの日の姉の姿を思い出す。とにかく成人式の日であった。
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