後期高齢者医療制度における窓口負担割合は、1割から3割となっているが、2割が導入された令和4年の時点で、2割負担者は後期高齢者の内20パーセントくらいと言われている。
3割を負担する現役並所得者が数十パーセントもいるとは思えないので、大半の人の負担割合は1割ということになる。
団塊の世代の全員が来年には後期高齢者となるから、後期高齢者がさらに増え、1割負担者も増えるから、後期高齢者医療制度の運営は最も苦しい時期を迎えたということになるのかもしれない。
政府は9月13日、新しい「高齢社会対策大綱」を閣議決定し、年齢によって分け隔てられることなく、すべての人がそれぞれの状況に応じて「支える側」にも「支えられる側」にもなれる社会を目指していくと明言した。後期高齢者医療制度で窓口負担が3割となる現役並み所得者の対象拡大などを検討していくらしい。
《「支える側」にも「支えられる側」にもなれる社会》とは、高齢者に特別便宜は図らないよ、ということである。
現在の高齢者医療制度の財源は、公費5割、現役世代の支援金4割、保険料1割となっているそうである。
高齢者の医療は現役世代の負担によって行われてきた。保険というものは本来そういうものであるが、保険制度が予定している世代のバランスというものが、崩れてしまったということである。
医療制度を根本的に変えることがないならば結論は一つ。高齢者の負担を大きくするしかない。
窓口負担が3割となる現役並み所得者の対象拡大は当然のこと、1割を廃止するということも考えられる。
負担は収入によって決められてきたが、これからは貯えた額によって負担を決めるということもありえる。
もちろんそんなことは納得できることではないが、政府のやること。何をやりだすか分かったものではない。
団塊の世代は高度成長期を謳歌し、バブルに踊り、最もいい時代を過ごした世代と言われ、日本の総預金額の最も多い比率を占めている世代ともされている。
優秀な人は優秀な企業や公務員に就職し、優秀な人でなくても正規社員として働くところに困ることはなかった。
自営業者は国民年金であるから、商売をやめれば収入額は少なくなる。町の不動産屋など、何億の貯えがありながら窓口負担は1割という人がいる。
「夜も寝ないで稼いだ金だ」と言うのがいつものことだが、夜も寝ないで稼ぐことが異常で、夜はちゃんと寝ている人の収入以上に稼いだ金は、社会に還元するのがまっとうな老後の在り方、ということを国は言いたいのかもしれない。
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