最近、介護保険における資産要件に関する記事を何度が見かける。
いずれもこんな感じの見出しである。
「質素倹約も意味なかったな…『年金月25万円』『預貯金3,000万円』75歳男性、役所の窓口で告げられたまさかの事実に呆然」
「呆然としたまさかの事実」とは次のようなことである。
大手メーカーで定年まで勤務し、妻と二人で生活している男性(75歳)の主な収入は公的年金で、月額は約25万円。預金は退職金を併せて3,000万円ほどある。
妻が変形性膝関節症を悪化させ、週3回のデイサービスと週2回の訪問介護を利用することになった。ケアマネジャーからは「月々の支払いは1万5,000円から2万円程度でしょう」と説明を受けていた。
ところが、利用開始から数カ月後、男性の元に届いた請求書には月5万5,000円が記載されていた。同じようにデイサービスを受けている知人は月2万円以下で受けていると聞いている。
何かの間違いではないかと役所に尋ねたところ、合計所得が一定基準を超えているため、介護保険の自己負担割合は2割となる。
さらに、預貯金が夫婦で2,000万円を超えているため、食費や居住費の負担軽減制度である『補足給付』の対象外、つまり第4段階となり制度上、一切の減免は受けられない、という回答。
窓口の横では、同じように手続きに来た高齢者が、資産が基準以下であるために1割負担の認定を受け、安堵した様子で席を立っていく光景があった。
この男性はこんなことを考える。
同じ地域に住み、同じサービスを必要としながら、蓄えがあるという一点において自分たちだけが高い請求を突きつけられる。
必死に働いて税金を納め、老後のためにと1円単位で節約して貯めてきた3,000万円が、ここでは『助けが必要ない証拠』となり、むしろ高い支払いを要求される根拠になってしまった。
3,000万円という数字は、決して贅沢をするための金ではない。いつかどちらかが施設に入った時、最後まで安心して暮らせるようにと質素倹約を心がけてきた結果である。
それが、行政の窓口では『余裕があるからもっと払え』と言われる。これでは、現役時代に何も考えずに使い切ってしまったほうが得だったのではないか。
こういう話が多い。後期高齢者の保険料負担にもこのようなことがあった。行政は事案に沿った解決はしないものである。
「資産要件」なるものを考える必要がある。



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