いつも思うのだが、マラソンや駅伝の先頭にどうして白バイがいるのだろうか。
もちろん警護とか警備ということなのだろうが、点数稼ぎのために交通取り締まりをしているとしか思えない白バイが、若者のスポーツの先頭にいるということが目障りで不愉快なのである。
どう見たって若者の姿と白バイは不健康な取り合わせである。
警察の威信とかを感じることのないスポーツにできないものであろうか。
来日したゼレンスキー大統領が広島市内を原爆記念館に移動する時も先頭は白バイであった。
ゼレンスキー大統領の警護ということであれば、戦車とは言わないまでも装甲車くらいの頑丈なものが先頭でなければ意味がないのではないか。
白バイが先頭にいたって、オートバイは両手でハンドルを握らねばならず、なにか事件が起きても対応することはできない。
白バイが先頭にいるということは警護になっていない。もし何かあったら白バイが邪魔になるのではないだろうか。これも外国人記者は嘲笑しているだろう。
大きな事故が起きるとまず警察が動くことになっている。
エレベーター事故とかビル火災で死傷者が出た場合も同じである。しかしこのような場合は、警察の捜査よりも事故原因の究明がなにより先ではないか。
警察は業務上過失致死などの立件を視野に入れて捜査するというが、そんなことよりも原因究明、再発防止が大事なはずである。
警察の捜査が再発防止に役立つとは思えないし、再発防止のために捜査しているとも思えない。
警察の捜査後、調査機関が調査に入っても現場は荒らされ、重要な資料は警察が持って行ってしまうから原因究明できるようなことにならない、という話をよく聞く。
多 分そうだろうと思う。何事においても警察が優先する社会になってしまった。
白バイのことから始めた話であるが、少しでも警察のことに関すると白バイだけの話に終わらない。警察には裏切られたとは言わないが、期待外れのことをなんども経験してきたからである。
若い頃兄がひき逃げ事故に遭った。冬の大雨の深夜であった。現場にはガラスや車体の一部などが散乱し、逃げた車も破損がひどかったはずである。逃げた方角も分かっていた。しかし犯人は捕まらなかった。
事故後2週間くらいたって所轄の警察を尋ねたが、事故資料はすでに倉庫にあり、担当者という警察官の机の上にはなかった。
その警察官が私に言った言葉は、「死んでいればよかったのですよ」ということであった。
警察官にすればごく当たり前の事故用語のようであった。事故で死なない限り捜査は打ち切りということであった。
自営業を始めたころよく、日本国土防衛隊とか日本青年愛国者同盟とか良く分からないところから、電話で本のセールスを受けた。大きな金額である。
セールスという言葉を使ったが脅しであり、いわば恐喝である。電話で分からなければ街宣車で説明に行くというのである。みんな迫力のある言葉遣いをする。
いろんな名前を名乗る団体から何度も電話を受けた。彼らは電話を切らないのである。駅前交番や金融機関の応接室などには、「不当な要求に応じることはやめましょう。なにかあったら警察に相談してください」、というポスターが張ってあることは知っている。
警察署を尋ねて事情を話したが、「暴力でも受けて買わされたというなら取り扱うが、電話で脅かされているというだけなら相談に応じられない」ということであった。
なにかあったら警察に相談してください、というポスターの、なにかとはなんなのだろうか。なんども書いているように警察というところは、殺されてから来てください、というところである。
市民に期待だけ持たせて警察は何もしない。期待を持たせなければいいではないかと思うが、持たせることはやめようとはしない。新聞が何度指摘しても変わることはない。
どういう訳か警察内に金融機関がある。住宅ローンは当然扱っているが結婚ローンというのもある。警察官の生活をしっかりフォローしている。あって悪いと言うつもりはないが、なにかおかしいと思うではないか。
若い頃、町の不動産屋で働いていたことがある。ときどきいわゆる反社会団体の人が部屋を借りに来る。一見してその筋の人ということが分るから断るのだが、彼らは必ず「とりあえず」と言って手付金を無理やり置いていく。断るときに手付金の倍返しを請求するのである。
そんなことを警察に相談したところ民間のことは関与できないということであった。
驚くことに丸暴担当の警察官は私に対してこう言った。「あんただって不動産屋を渡り歩いて、ろくなことをしていないんだろう」
作り話ではない。本当の話である。
丸暴というのは、警察書類の表紙に丸の中に暴という字を書くものである。暴力団関係資料の目印ということらしい。精神異常者の犯罪は丸精と書く。
後で聞いた話だが、丸暴の警察官(刑事だが)はそういう団体の人と接しているうちに同情と言うか同感と言うのか、そういうことになるらしい。
「決して奴らは根っからのワルではない。かえって普通という人間の方がワルだ」という人間観を持ってしまうらしい。
丸暴の刑事たちは反社会団体の人間と同じような格好をしている。並ぶとどっちがその筋の人か分からない。
警察はよく家宅捜索をする。家宅捜索は警察の花道だという。大きな段ボールを何個もトラックに積み込む。こんなに犯罪資料はあるものなのだろうかと見るたびに不思議な思う。いわゆる根こそぎである。
捜査権の乱用になるのではないかと思うが、調べてみなければわからないと言われればそれ以上言いようがないことになる。
捜査が終わったら元通り整理して返却するのだろうか。要らぬ心配をするが、欲しければ取りに来いということだろう。
市川猿之助の家も家宅捜査したらしい。花道を歩いていた役者の家が警察の花道になった。
老々介護で一方が自宅で亡くなった時、警察の調べを受けるらしい。仕方のないことといえばそうなのかもしれないが、なにより人の死に最初に関わるのが警察というのがどうも情けない。
侮辱を受けたようだ。被害者でも警察と関わるような人生にだけはしたくない。 (了)
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