今のところ53年連れ添った女房と離婚する気はないが、熟年離婚のつづきを考えているのは、離婚した人たちは清々することもあるだろうが、不便だし、面倒なことだろうな、と思うからである。
熟年離婚の記事にこんなのがあった。
Aさんは定年になる2年ほど前に病気を患い、1か月ほどの入院で、妻が見舞いに来たのは一度だけ。病室に顔を見せたほんの5分ほどの間に妻の口から出たのは「入院費用がかさむ」「早く良くなってくれないと、お金が心配」というそっけない言葉だけだった。老後を目前に控えた病身にはこたえた。
「妻にとって僕は、もはや人生のパートナーではなく、ただの“金づる”でしかないのだと実感しました」という話である。
私の周囲にも同じような話があった。昨年1月に近所の知人が亡くなったが、パーキンソン病を発症していて介護費用がかさんだらしい。
奥さんとは13歳くらい歳が離れているが夫婦仲が良く、我々夫婦とも適度に長いお付き合いをしてきた。
その奥さんがなにより心配したのはやはり入院費のことであった。介護施設の見舞いの帰りに女房に会うたび、「このままお金がかかってしまったら私のこれからの生活ができなくなってしまう」としきりにこぼしていた。
その奥さんは、変な人でも頭の悪そうな人でも自分勝手な人でもない。心配はもっともなことであるが、その話を女房から聞くたびに、「あの奥さんはもっといい人だと思っていた」と思ったりした。
夫の入院。それも回復不能と言われた病状らしい。そのための入院費が貯えを減らしてしまう。つらい状況であったことは良く判る。
なんでこんな女性と、と思うような結婚をした男を何人か知っている。
「こんな女性」と思うのは私の独善であるが、世間の見る目とかけ離れてはいないはずである。外観も内面も不器量な女性と、外観は美しいが浮気性の女性のことである。男の浮気は直しようがないが、女性も同じことが言えるらしい。
こんな結婚でも長く続いているものあれば、もっともなところで離婚したケースもある。
妻のみっともないところに自分の居心地の良さを感じている男もいれば、妻の浮気を認めている夫もいる。いずれも私の理解を超えたものである。
悪い女性に遭遇することは人生最大の不幸である。(了)
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