人気の死因、1位はガンだそうである。
のっけから縁起でもない死因と書いたが、縁起でもない歳になったのであるから、縁起でもないことに正面から向き合わなければ、誰が向き合うというのか。
一般に、望ましい死に方としてイメージされるものに、ポックリ死がある。
自分がポックリ死を考えることなど思いもしなかったが、長い闘病期間を経ずにあっという間に死ねれば、死の苦しみも少ないし、いい死に方だなと納得するようになった。
ポックリ死というのは具体的には、心筋梗塞、脳梗塞、クモ膜下出血ということになる。交通事故死も含まれるかもしれないがこれは別のことになる。。
しかしいずれも発作が起きたあとすぐ死ぬということではないらしく、実際は発作と同時に意識を失うということもなく、心筋塞なら胸、脳塞やクモ膜下出血なら頭に、激しい痛みを伴うらしい。
命を落とすくらいの痛みであるから、激烈な、と言ってもいいほどのもので、クモ膜下出血では金属バットで思い切り頭を殴られたような痛みとも言われている。
他に望ましい死に方として老衰死がある。
最後は眠るように亡くなる。なんとなく安らかなイメージがあるが、しかし実際の老衰死はそんなに生やさしいものではないらしい。
誤嚥性肺炎だの、腰、膝、肘とあらゆる関節痛に耐え、寝たきりになって、下の世話はもちろん、清拭や陰部洗浄、口腔ケアなどを受け、心不全と筋力低下で身体は動かせず、呼吸も苦しく、言葉を発するのも無理というような状況にならないと、死ねないのが老衰死ということらしい。
この数行はネット記事の引用だが、しつこく恐ろしい文章である。
ポックリ死は、思っているほどぽっくり死ねるものではないということを言いたいらしい。
「死ぬにはガンが一番」と言うのは、突然死や老衰死にはない、いい面があるから、ということである。
死ぬことにいい面などあるはずがない。
死ぬまでの猶予時間が与えられる、ということがガンのいい面らしいが、それは死の恐怖と向き合うことである。誰にでもできるということではない。
簡単に「死ぬならガン」などと言うものではない。
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