東京女子医科大学病院(女子医大)は東京新宿の河田町にある。
河田町は、以前フジテレビの本社のあったところでもあり、両者はほぼ並ぶように存在していた。
河田町は私の知る昭和45年前後では、新宿駅などからのバス便しかアクセス方法はなかった。
私は地下鉄早稲田駅から渋谷駅行のバスを通勤に利用していたことがある。
バスが夏目坂を上り、大久保通りを大きく左に曲がると、狭い道路をはさんだ両側に、所狭しと立ち並ぶ女子医大の建物が現れる。
このバスでは、吉永小百合さんと結婚した岡田太郎さんといつも乗り合わせていた。フジテレビに勤務されていたようだ。なかなかしゃれた感じの人だったので、婚約発表時写真を見て、すぐあの人だと分かった。
それから2年くらい経ち、私が結婚して仕事を建設会社に変えた年の翌年の1月に、兄がこの病院に緊急に入院した。
仕事帰りの深夜、自宅前の目白通りでひき逃げ事故に遭ってしまった。
その頃私の新婚所帯に電話がなかったので、翌朝出勤して、姉からの電話で知った。
すぐに上司に断り、女子医大に駆け付けたが、病棟は脳神経外科であった。
その何年か前に、女子医大は東大の脳神経外科の喜多村医師を教授として迎え、脳神経外科病棟を新設していた。
建物は白く、清潔感のある病棟であった。
兄は1回の手術では意識が回復せず、2回の手術によって意識を戻すが、それを指示したのは喜多村教授の「ご回診」の時であった。
兄はそのお陰で一命をとりとめた。
兄はそれから15年後に結婚したが、結婚まもなくお嫁さんが舌癌を発症し、女子医大に入院した。それから40年もたっているから舌癌は完治したということになる。
兄は自分が女子医大に入院していたこともあり、まめまめしく入院の支度を手伝っていた。
その女子医大に、死亡事故、医療ミスや医師・看護師の大量退職、金銭疑惑など、不祥事が報じられている。
この3月、警視庁は岩本理事長の自宅など家宅捜査を行った。
岩本理事長は岩本絹子という女性である。週刊誌の報道によれば、あまりいいことをしている人のようではない。多分年齢は団塊の世代と一緒くらいではないだろうか。
名門といわれる女子医大に何が起きているのか。
組織というものはたった一人の考えでどうにでもなる。岩本理事長は医療のことを考える人なのか、自分の栄達を考える人なのか。
自民党を離党した世耕さんは近畿大学の理事長でもある。大学職員の有志が辞職勧告をしたが、彼がやめるはずはない。その後どうなっているのだろうか。近畿大学はランクを上げているらしい。
立派なところの偉い人は立派な人のはずだが、 こういう人はどこでどう間違ってしまったのだろうか。
病院は信頼にこたえるものでなければならない。医師は偉い人でなければいけないのである。 (了)
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