最後まで格好良く

つぶやき

 やはり人の死は気になる。畑正憲さんが亡くなった。87才だったそうだ。晩年は借金に苦しんだようだが人相は昔と変わっていない。動物を愛する人だから人柄もよさそうだった。

 あの人のテレビ番組は私も好きでよく見ていた。たしかに動物の餌代、人件費など、大変なことであったろうと思う。人々を楽しませて、それで自分は借金を背負ってしまう。ご冥福を祈る。

 坂本龍一氏は「つらい。もう、逝かせてくれ」と医師や家族に伝えたと言う。
 坂本さんは肝臓やリンパに転移していたらしい。ひどい痛みであれば骨まで転移していたのかもしれない。

 人が死ぬということは壮絶なことなのだと思う。
 しかし直腸がんは発症時にステージ4ということだが、一度も検診をしたことがなかったのだろうか。
 少なくとも10年に1回でも内視鏡の検査をしていればなんとかなったはずである。アメリカで治療をしていたということだが、医療の先進国で発見できなかったのだろうか。

 松方弘樹さんが亡くなった時、梅宮辰夫さんがいわば弟分の死ということでコメントをしていたが、自分のことしか話さなかった。
 彼もその時大きな病気を抱えていた。自分より若く元気であった松方が、あっという間に死んでしまったことに狼狽を隠せなかったようだ。

 あれほど男気だとか威勢のいいことを口にしていた人が、自分はこれからどうなるのだろうか、という不安しか口にできず、テレビカメラを前にただオロオロしていたようだった。
 格好悪いとは言わない。誰も死は怖い。でもやっぱり格好のいいことを言ってきた人だけに格好悪かった。

 そういうことでは石原慎太郎さんもそうだった。
 亡くなる直前までテレビは、何か都に関する問題かなんかで彼を追っかけていた。
 すでにかなり高齢で病気にもなっていたようだったから、テレビの画面はかつての精気ある石原慎太郎さんではない。痛々しいほどのみっともない姿であった。病気のことではなく立ち振る舞いがである。

 しかしあれほどの政治家がなぜ都知事になったのであろうか。
 人生、最後はどこかのボスで終わりたい、ということであろうか。それならそれでいいが、しかしあの人は都知事としては失政ばかりではなかったか。

 若い頃、自分たちの遊びを文章にしたら時代の波に乗って作家ということになってしまった。それだけの人である。政治家になってからの発言も人間性を疑わざるを得ないようなものばかりであった。最後はお山の大将、という程度の人であった。

 我々一般人が、政治家とか芸能人に対して持つイメージというのは、そのほとんどがテレビによるものである。
 テレビにいつも格好良く映っていればそういう印象を持つし、変に映っていれば、あまりいい印象の人ではないとか、思ったほど美人じゃなかった、ということになる。

 梅宮さんにしても石原さんにしても、テレビの取材はいいタイミングではなかったということだと思うが、せっかく今まで格好良かったのだから、最後も格好良く映してあげればいいのに、と思う。
 テレビ局はあえて痛々しく、情けない映像を放送したということも考えられる。

 黒岩さんが当選した。知事を続けるのだろうが果たしてできるだろうか。なにしろ子供の教育に良くない。ああいう人が知事になっては収まるものも収まらないのではないか。

 PTAのお母さんたちからリコールが提起されるかもしれない。人のうわさも七五日と言うが、下ネタはそんなに簡単なものではない。下ネタは人間にとって日々の営みのことであるから事あるごとに思い出し、忘れないのである。

 しかし人に対する評価で、好きじゃないとか感じ悪い、というのはよくあるが、「気持ち悪い」というのは救いがたい。これから「気持ち悪い知事」としてやっていくのだろうか。みっともない知事である。

 俳優の津川雅彦さんが、奥さんの朝丘雪路さんが亡くなった時の記者会見で見せた対応は格好良かった。
 亡くなられてまだ2年くらいかと思っていたら5年も経っている。
 記者会見の時、自身も肺炎を患っていたらしく、酸素吸入のチューブを鼻にしていた。奥さんが亡くなられて3カ月くらいで亡くなってしまった。
 あらためて彼の出演作品を思い出してみるとみんな格好いい。役者は最後まで格好良くいるべきである。(了)

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