宮崎沖地震から3日が経った。毎晩、このまま寝ていいのだろうかと心配だが、ヘルメットを枕元に置くことにした。
発生すれば何十万の命が失われるという大地震。テレビで何度も見た、部屋がガサガサと揺れる動画が目に浮かぶ。
テレビは「南海トラフ大地震注意」と字幕を掲げるが、どう注意すればいいのだろうか。
地震慣れしているということではないと思うが、社会は冷静である。
来たら来たまでのことだと、みんな思っているのだろうか。
台風5号が東北地方に上陸するようだ。何年か前、同じようなコースをたどった台風が、東北地方に大きな被害をもたらした。
老人施設が流され、犠牲者が何人も出た。我が家愛用の、岩手のヨーグルトが生産中止に追い込まれた。
パリオリンピックが終わる。マラソンのゴール地点での映像が、目を見張るような美しさであった。日本であれば「読売新聞本社前」ということになる。
勝つべくして勝った人は勝利の涙を浮かべ、勝つべくしてなし得なかった人は悔しい涙をこぼす。努力すれば報われるとは限らない。それを見るのが辛い。
外出から帰り、車を降りたとき、女性から声をかけられた。
「おじさんこんにちは。まだ車の運転ができていいね」、と言う。
誰かと思ったら、娘と同級生の、近所のマンションに住む娘さんであった。
娘さんと言っても50歳になるはずであるが、娘さんのように若く見える。
20代で結婚したが、すぐに別れてしまって親と住んでいる。
「お父さんがもう食事もできなくて寝たきりなんだよ」、と言う。
どうしたんだと聞くと、「がんがあって、腎臓も悪く、食事もここ何日もとっていない」、と言う。
「病院に行って…」と私が言いかけると、「病院に行って検査をする体力もないので、お医者さんと看護婦さんが来てくれている」、と言う
「私はファザコンだったからとても悲しい。おじさんは元気でいいね」と私に言う。
「いや私も実は…」、と言いかけたがやめた。
「お母さんが大変な思いをしているはずだから、お母さんを助けてあげなさい」と声をかけた。
この娘さんのご両親とは、50年近いお付き合いとなる。ご主人は82歳と聞いた。
同じ町で、同じ時代を生きてきた人たちが、人生一番悲しい時代を迎えている。
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