朝7時のニュースは朝食を摂りながら見ることが多いが、食事を終え、居間と書斎をいったり来たりしている時、消し忘れたテレビの画面に興味を持った。
新プロジェクトX「明石海峡大橋40年の戦い」という番組の再放送だった。
「地上の星」というテーマ音楽とともに、プロジェクトXという大変な人気番組が以前あったことは知っているが、それが復活するという話を聞いたこともあったが、特に関心のある番組ではない。
素直に見ていれば感動的な番組である。しかし何回か見ているうちに少々シラケてくる。この番組はドキュメントなのかドラマなのか。ドキュメントに感動を伴うことは滅多にあることではない。
そんなことを感じていた頃、演出のやりすぎ、ヤラセ、企業との癒着、といった番組に対する批判が起こった。
番組を面白く感動的なものにするために、いろいろいい加減なことをやっていたことがバレてしまったらしいのである。
特にこの番組の、パブリシティとしての効果が抜群であったためか、企業の意図によって話の内容の変更などがあったらしい。
NHKは企業名や商品名は出さないものだが、この番組ではToToとかVHSなどの名称が語られていた。
いろいろ問題を起こした番組であったが今日の再放送を見て、新しいプロジェクトXも以前と同じようなコンセプトで番組を作っているように思われた。
一人の人間の夢から始まった話が40年かけて実現する。明石海峡に世界最大の橋を架けるという壮大な話である。面白い話でないわけがなく、感動的な話になるのは当然である。
いつものように苦労話が散りばめられていたが、番組の最後あたりで、今は年配者となった技術者が、明石海峡の橋を発案した人の墓に毎日のように墓参りする姿が印象的であった。
しかしこの橋の建設にどのくらいの人数の人達が携わったのだろうか。
見終わって、明石海峡大橋は4人くらいの人によって作られたような気になった。
番組を感動的なものに仕上げるには人を描くことなのであろうが、出演された人たちの努力や熱意を否定する気はさらさらないが、危険な高所作業に従事した人達のことに全く触れないということはどんなものだろうか。
ただこういう番組を見ていつも思うことがある。大きな仕事を成し遂げた人の達成感である。
人生を語るにも仕事を語るにも人間関係を語るにも、社会的に価値のある大きな仕事を成し遂げた人しか持ちえないものがある。こういう大仕事した人生に比べると、自分の人生などゴミのようなものだなと思う。
友人という人間関係の存在に懐疑的になる人の話が多いが、そういう話の場合、「真の友人関係ができない」というのが典型である。
真の友人関係などあるはずがない。ただこの番組での師匠と弟子という関係は、真の友人関係というものが存在することに期待を持たせたかもしれない。友人関係とは何かを仲立ちにして成立するものである。その典型は戦争であろうか。
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