先日、血圧と血糖値の定期検診を受けた。以前かかっていた医院が不便なところに移転したので近くの医院に代えたが、その医院での2回目の検診である。
1月に初めてかかったときの血液検査は針で採血する簡易な方法だったので、この医院で大丈夫かと思っていたが、きのうは医師の診察の前に尿と血液をしっかり採取された。
「血糖値だけでなく肝臓・腎臓など詳しく検査させていただきます」と看護婦さんがきっぱりという。「糖尿病連携手帳」という小冊子まで渡された。そうか俺は糖尿なのか。嫌でも自覚させられた。
しばらくして名前が呼ばれ診察室に入ると、私が座る前に医師が「みんな正常値以下ですね」と言う。みんなとは空腹時血糖値とヘモグロビンA1cである。肝臓や腎臓は専門の検査機関に出すため結果は後日ということである。
「そうですか。でも薬を飲んでのことですから」と私が言うと、「薬を飲んでも効かないことがあります。ここまで下がっていれば薬を飲まなくてもいいかも知れません」と医師が言う。それはなんともありがたい。次回の予約をして退室した。
70代の半ば近くなってから肝膿瘍、大腸ポリープのがん化、喉頭がん、脊髄症、狭窄症と医者にかかってきたが、今のところ元気に生き伸びている。肝膿瘍や脊髄症では「あんた死ぬよ」と医者に脅かされたが、がんでは余命宣告はなかった。しかしこの先完治というにはまだ4年もかかる。
不幸中の幸いというべきか、歩行不良ということはあるがいたって元気である。「生気があって、とてもその歳には見えませんね」と何人かの医師から聞いたことがある。喜んでいいのであろうが、病気が続いては手放しというわけにもいかない
高齢の身となれば大半の人が多かれ少なかれ病を抱えているはずである。元気そうに見えるのは、まだ少し元気が残っているということである。
近頃一段と近所の人達の老いが目につく。ほんの何年か前まで溌溂としていた奥さんが介添え無くては歩けないようになった。私より二つか三つ若い男性が早朝奥さんと歩行訓練をしている。人とすれ違って、「エッ、まさかあの人?」、という人が多くなった。見かけなくなった人は施設か死亡である。
薬を飲んでいるとはいえ数値が改善するというのはうれしいことである。そうであれば数値の悪いときにできなかったことをしたい。普通の年寄りに戻りたい。とは言っても味噌ラーメンと餃子を食べることである。
16号線を走りラーメン屋を探す。注文を受ける若い女性店員に、「しっかり頼むぞ」と思わず心の中で声をかけた。
久しぶりの本格的味噌ラーメンであった。しかしスープを全部飲み切る勇気はなく、未練を残して店を出た。(了)
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