80代の癌を患う男性がコロナに感染し、複数の病院から入院を断られ死亡した、という記事があった。東京でのことらしい。
初めて聞く話ではない。医療崩壊はコロナの初期から医者や学者などが指摘してきたことである。
しかしそんなことは起こらないであろう、国がなんとかしてくれるだろう、という認識があった。
日本の医療システムが世界に誇りえるものだとの政府などのアナウンスは浸透していた。そこまでひどくなることはない、という信頼が存在していたように思うからだ。
なんとかできる社会だと思ってきた。しかしなんとかできなかった。なんとかできなかったことが当たり前のような社会になってきた。福島の原発事故における想定外という言葉からそんな社会になったような気がする。
みんな想定外だ。コロナの拡大、豪雨、河川氾濫、大地震、噴火、電力不足、大型台風。現代の日本人が初めて体験するものばかりである。「今まで経験したことのないような豪雨」「命を守る行動をとってください」
気づいてみれば、自分の命は自分で守る、ということを今まであまり考えたことがなかった。
大腸検査の結果はOKだった。1月に続き5個のポリープを取ったが、いずれも癌化していないという医師の説明であった。
しかし前回の切除からわずか半年である。その間に新しいポリープが生まれたということなのか、それとも前回で取り残しがあったということなのか。
医師に尋ねると、他の病院でやったことは知らない、という返事であった。いい医者と思ったが実は偏屈な人間ではないのか、とチラッと疑いの念が生じた。もう少し愛想がよくていいんじゃないか、と言ってやりたいくらいだ。
前回はひどく苦しい思いをしたが今回はそれがなかった。その理由を尋ねても、前回のことは分からない、とぶっきらぼう。コノ―ッ、と思わず燃え上がるものがあるが、とりあえず我慢。いつでも喧嘩はできる。
やはり医者とは相性というものがあるのか。
次回検査は1年後。どうしようか、また探すかと思いながら運転して帰る。(了)
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