「役不足」と言う言葉は、「自分にはそんな力量はない」という謙遜の意味ではなく、「本人の力量に比して役目が軽すぎる」ということを意味するらしい。
役者が自分に割り当てられた役に不満を抱いて文句を言うことがこの言葉の語源と言われている。
「気の置けない人」とは、イヤな人間のことだと思っていたので、この言葉の意味を知ったとき、我ながら少々驚いた。
私と同じように誤解している人が多いということだから、本来の意味を知っているからといって無暗にこの言葉を使うと、ケンカになるかもしれない。
言葉やことわざが本来の意味ではなく、誤った理解で社会に浸透していることが多いが、誤ったまま通じてしまうこともあるし、恥をかくということもある。
学生がコンパに「枯れ木も山の賑わい」と教授を招待したという話があるが、教授は出席したのだろうか。
「情けは人のためならず」は、間違って使われることわざのナンバーワンということになっている。
「人に情けをかければその人のためだけではなく、結局は自分のためになる」というのがこのことわざの真意で、「人に情けをかけるのはその人のためにならない」という意味で使うのは間違いとされる。
しかし、「情けは人のためならず」という言葉だけで、「情けは人のためだけではなく、結局は自分のためになる」と理解するには無理がある。
「情けは人のためならず」と言うならば、ではそれはなんのためなのか、というフレーズが続かなければおかしい。
このことわざは、「情けは人の為ならず めぐりめぐって己がため」というのが全文とされている。全文では長いので前の部分だけが使われるようになったという。
後の部分を知らなければ、「情けは人のためならず」はそういう意味しか考えられず、間違っているということもなく、ことわざとも言えない当たり前の言葉になる。
仏教での「善因善果」がこの言葉の由来ということになっているが、他人に情けをかければ自分のためになるというのは功利的である。
同じ情けに、「かけた情けは水に流せ、受けた恩は石に刻め」ということわざがあるが、こちらは江戸っ子のように気風がいい。
情けはいろいろ難しい。



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