私が不動産屋をやっていたころ、人工透析を専門とする医師から病院の建設用地の取得を依頼された。
たまたま適当な土地が100坪ほどあり、医者に紹介することができた。バブルの真っ最中、とんでもない価格であったが、医者は売主の言い値で買った。
医者は直ちに病院建設に着手した。医者が自宅にしている住宅の壁材が気に入っているらしく、病院もこのハウスメーカーで建てたいという希望であった。
人工透析は患者が週に3回、何時間も過ごすところである。少しでも患者たちが快適な環境の下で透析できるようにという思いが医者にあった。
ハウスメーカーにしてみると病院建設は初めてのことであったらしい。住宅の専門メーカーであるからいろいろ問題点はあったが、請負額の大きさに結局は引き受けることになった。
仕上がりはあまりスマートとは言えない建物になったが、医者は壁材が寒暖を調節する過ごしやすさに満足していた。
建物が完成し引き渡しという日に私も立ち会ったが、その建設会社の営業部長は1冊の文庫本を手にして現れた。通俗的な時代劇の小説であった。
「ちょっとついでに引き渡しに立ち会ってくる」という印象しかなかった。
読みかけの文庫本だけを手にして、大きな金額の請負契約の仕上げに現れる。これが一流企業の営業部長。何も判っていない人であった。
こんなことのために長々と書いてしまったが、この部長さんのみっともなさは、誰もが注意すべきことである。
他人のことはあまり言えないが、世の中常識ありそうでない人が多い
知人の奥さんが入院して見舞いに行ったとき病院の喫茶室に誘われたが、「お茶代は割り勘にしましょう」という話が知人からあった。
思わず知人の顔を見たが、割り勘がいいというような顔しかしていない。こちらは見舞金まで包んでいるのに別々に勘定を払うことになった。
人にたかる事しか知らないような人であった。仕事もせこいことをしたらしく、監督省庁から懲戒処分も受けている。
こんな人間が普通の顔をして社会で仕事をしている。世の中というものはいい加減で危険なものでもある。
麻生さんは今でも財務大臣なのか知らないが、アメリカに出かけた。
「もしトラ」が「ほぼトラ」になったと政府が認識しているのか、トランプとの会談を模索するという。
ほんの少し前に岸田首相が国賓として招待され、バイデン大統領と会談をしたばかりではないか。バイデン大統領は2選を目指している。
世界の笑いものにまたなるのであろうか。日本はつくづく情けない国だと思う。
日本の敗戦時に米軍の最高司令官だったダグラス・マッカーサーは、敗戦から数年経ったアメリカ上院の委員会において、同じ敗戦国であったドイツと日本を比較して、ドイツは45歳の壮年に達しているが、日本人はまだ12歳の生徒の段階である、と発言した。
人生いろいろ振り返ってみると、大人になっていない人間ばかりであることに気がつく。
日本人は大人と言う人間像を持っていないのではないだろうか。切腹という責任の取り方が究極の責任のあり方なのだろうか。そんなことはないと思うが、今の日本人には切腹の意味は分からない。
明治以後、大人のあり方の模範が示されたことはないように思う。いつも死というものが現れる。切腹の次は特攻隊だった。
長い思考が出来ないのが日本人であるような気がする。
麻生さんのトランプ詣で。確かに12歳の子供のやることである。(了)
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