姉 と 弟

　大きなスーパーマーケットなどに行くと、つらい思いをすることがある。
　２歳半くらいの女の子と、まだ母親に抱かれる弟の親子連れに遭うと、どうもつらくなってしまうのである。

　このことは兄と妹ではそういうことはなく、姉と弟という場合に限って感じることのようである。

　弟が生まれるまでは姉は両親の愛情を一人で受けていたが、弟ができれば親の愛情は弟に移る。それを感じているのか、幼い娘さんのけなげさがいじらしいのである。

　母親に気を使っているのがよく判る。しかし母親は、「ホントにこの子はいつもこうなんだから」と不機嫌そうな顔をしているときが多い。

　きのうも近所のスーパーで遭ってしまった。女の子は出口でショッピングカーを所定の場所にしまおうとしていた。母親はいらいらしているようで、「余計なことしないでいいの」という顔つきで女の子の手を引っ張っていた。

　私は女の子に「エライね」と声をかけた。今の時代むやみに子供に声を掛けられない。
　女の子は何か思ったのか思わなかったのか、通り過ぎる背中にバイバイと私が言うと振り向いて私に手を振ったが、母親に引きずられるように行ってしまった。

　まさか親にいじめられるようなことはないだろうが、気持ちに余裕の無さそうな若い母親を見るたびに、幼いお姉ちゃんの幸せを思わずにはいられなくなるのである。