昨日大腸検査の予約のために2つ先にある町の医院に行った。昨年7月に検査をしているので1年ぶりの検査となるがその時の医院ではない。医師の対応があまり感じのいいものではなかったので変えることにしたのである。
昨年大腸検査は2回しているがこれも同じ医院ではない。1月に、家の近所にある大腸検査ではかなり有名な医院に行ったのだが、そこはあまりに検査時間が長くものすごく痛かったので、その検査の際に言われた6か月後の再検査をそこではやらず、別の医院に変えたのである。
その医院も今回変えることにしたから大腸の医院は3か所目ということになる。
病気のことなど素人には分からないが、素人でもおかしいと思うことはある。素人はおかしいと思うことで身を守っていくしかない。
専門家の言うことに間違いはないだろうが、専門家にもいろいろ事情がある。やるべきことをはしょることもある。患者の質問に答えなかったり、納得できない対応であればどんどん医者を変えるべきである。
医者は患者はいくらでもいる、と言うかもしれないが、患者からしても医者はいくらでもいるのである。気弱になることはない。
初めての医院であるから問診票に既往症などを書き込む。ほんの1年ちょっと前まではすべて無しの欄に〇をつけていればよかったが、今回は去年の大腸ポリープを入れて4つ書くことになった。
履歴書であれば豊かな経歴ということになるが、病歴というのはあまり多く書くものではない。
女房の友達から紹介された医院であるが、評判いいけど混んでますよ、という通り、受付から診察まで1時間ほど待たされた。
医師は60歳を過ぎたような人であったが、忙しいのか3つある診察室を掛け持ちしている感じである。
勤務医が最低でも2人くらいはいてもよさそうな印象を受ける。医者は机の前にどっかと座って患者に目を向けることもなくコンピューターの画面を眺めているものだが、走り回っている医者を見たのは初めてである。
私の問診票を見て「タバコなんだよな」と独り言のように言う。「タバコをやっちゃった人はまずいんだよ」と言葉を続けた。
大腸が終わったら胃も食道も診よう、ということになった。通り一遍のことで済ます医者ではないようだ。お任せしようという気になったが、その時先生はすでに立ち上がっていて足は隣の診察室のほうに向いている。
私が検査の予約は?と聞くと、後は看護師とやっといて、と飛び出して行った。
昔からタバコと酒は体に良くないと言われてきたのに、それを続けてきての病気であるから自業自得である。
医者に、このがんだけでは済まない、と言われたような感じである。70歳半ば、人生劇場、病気時代の入り口に立ったということだろうか。しかし人生の最終章に入れず亡くなってしまった人も多い。じたばたしても仕方ない。
幸いに一病息災で今のところ体の点検はしている。あの先生は心配性なのだ。そういえばあの医院の待合室のビデオは、病気の最悪のことばかり言っていた。来院者が怖くなるような内容である。それで最後は、そうならないように当医院で早めに検査を受けましょう、というコメントが流れる。
ここの医院のオリジナルビデオかなと思ったが、この医院の診療科目にはないことも紹介している。医院向け広告会社が作ったCMビデオである。しかし病気のCMとなると気になる。やはり人は弱みにつけ込まれると弱い。
平均寿命が年々伸びているが、本来人間の寿命はいくつなのだろうか。人間の寿命は本来何歳というものではなく、病気になりにくい体質で生まれ、健康に注意して生きていけば100歳くらいまでもつものである。
江戸時代でも90歳を過ぎて活躍した人も多い。平均寿命が延びたということは、病気がちな人でも現代の食事内容とか医療によって、いわば病気になりにくい体質になったということであろう。
昔は病気になれば死んでしまうのだが、今は治ることのほうが多いのだから平均寿命は延びて当然である。
江戸時代の平均寿命は40歳くらいと言われているが、幼児の死亡率が異常に高かったから平均値が低くなるということらしい。10人子供が生まれて成人するのは2、3人だったらしい。
今後医療がさらに発展して自動車の部品交換ではないが、病気になっても、病気になりやすい体質でも、血管や心臓機能の取り換えや補修ができるようになれば100歳をはるかに超えることも可能であろう。そのうち人間のリニューアルオープンということもあり得るのかもしれない。
大腸の検査は7月半ばにすることになった。愛想のいい看護師さんがいろいろ下剤の飲み方など教えてくれる。検査の1週間前から野菜物はあまりとらないようにと言う。野菜は大腸にいいのではないかと思っていたが、繊維質は検査の時はダメなのだという。言われてみればそうなのかもしれない。
私の検査当日の予定表というのを見せてもらったが、その日だけで6人くらいの検査予定が入っている。
検査は午前中だけである。まだ予定の空きがある。こんなに予定を入れて大丈夫なのかと心配になる。私の問診をした先生が一人で全部やるそうである。
感染症検査のため採血をした。終わって立ち上がったとき診察室のほうから走って来たような先生とぶつかってしまった。
人の間をすり抜けるように仕事をしている。まあ大丈夫なんだろうな、と思いながら会計を待った。(了)
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