毎度ポストに投げ込まれる不動産会社のチラシに呆れている。
「売却不動産募集」というのが定番である。
不動産屋にとって売却以来は飯の種である。それを「募集」。何も分かっていないようである。
先日、ある大手不動産仲介会社のチラシの表紙部分には、売却不動産募集強化中」という文字が大きく書かれていた。その下に「当会社○○センターでは売却物件が不足しています」、という文字も印刷されている。
説明するまでもなく、売る物件、つまり取り扱う商品がないから募集する、と言っているのである。この文言に何も疑問を持たない人は、生まれつき素直な人か、与えられた仕事をただ黙々とするだけのつまらない人か、世の中の何も判っていない人であるか、病院に行った方がいい人であるか、である。
不動産仲介会社は、自社でマンションや一戸建てを建築して売るのではなく、一般の市民がその所有している不動産を売却する際、売主・買主の間に立って、仲介することを業としているものである。
その仲介会社において何が最も重要なことであるかといえば、いうまでもなく売り物件の確保ということである。
売る物がなければ買主がいくらいたってどうしようもない。「買いたいというお客さんがたくさんいます」などという文言を記載したチラシも見かけるが、買いたいというお客さんが困っているのではなく、当の仲介会社が商売にならず困っているのである。なにアホ言ってるんだ、と言いたくなるのである。
売り物件を確保することは不動産仲介会社にとってなにより重要なことであるのに、それを「売却不動産募集」などと言う文言を記載したチラシを、むかしから人の家に投函している。自分たちの飯のタネを、募集などという言葉で集める商売がどこの世界にあるというのだ。実に失礼である。不動産屋とはこんな程度なのである。
「あなた様が所有されている不動産を売却する予定がございましたら、ぜひ当社にお任せいただけませんか」と手もみしながら、丁寧な言葉で懇願するのが普通であり、常識というものてある。それを「募集中」。何を考えて商売をやっているのであろうか。
何も考えていないのである。何も考えずにこんなチラシを配っても、不動産業というものはやっていけるものなのである。やっていけるどころか商売大繁盛である。何故か。こんなチラシを見て、私もお願いしようか、と「募集」に応じる人がたくさんいるからである。
ここまで書いてきて、馬鹿らしくなってこれから先、書き進める気がなくなってしまった。
ただ一つ大事なことは、不動産の売却依頼をするときは営業マンに気をつけろ、ということである。
みんないい営業マンであるが、自分は悪い営業マンですと言う営業マンはまずいない。いい営業マンと思っている営業マンがときどき悪さをするのである。金融取引で何億円も騙された人が、あの人は決して悪い人ではない、いい人だった、と営業マンを懐かしむのはよくあることである。
いい営業マンにも魔が差すということである。悪さというものはみな魔が差したときのことである。不動産の取引は高額なため魔が差しやすい。(了)
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