かつて特高と呼ばれる秘密警察があった。今でも名前を変えてあるのかもしれない。
特別高等警察、略して特高とは、「国家組織の根本を危うくする行為を除去するための警察作用」と定義される。
国家組織の根本を危うくする行為を取り締まるのであるから悪いことではない。国民が平和に暮らせるために必要な組織である、と言える。
近時の戦時下において設けられた組織かと思っていたが、意外とその歴史は古い。明治の後半には設置されていたようである。
「戦前の日本では治安維持法などに基づいて国家組織の根本を危うくする行為を除去するための警察作用が行われた。特に共産主義運動、社会主義運動、労働運動などの左翼の政治運動や、右翼の国家主義運動や不敬罪を徹底的に取り締まった。暴力行為などを用いた極端な取り締まりが行われたため一般大衆に恐れられた」
とウィキペディアにある。
戦後の映画などで、逮捕に向かう特高警察官の靴音だけが聞こえるシーンがあり、子供心にも怖かった。
特高の詳しいことを知っているわけではないが、「蟹工船」という小説を書いた小林多喜二という作家を思い出す。特高の壮絶な拷問によって死亡したとされている。
共産党員だったらしい。共産党は国家を転覆させることを目的とする政党であった。そうであるなら逮捕は当然であるし、国家転覆の計画を明かさないのであれば拷問もやむを得ない。しかし国家転覆の計画が実際にあったかどうかは分からない。共産党員ということだけで逮捕し、拷問したらしい。
ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏が刑務所で死んだ。47歳であった。
新聞には収監中の残虐行為が記載されている。多分そういうことが行われたのであろうと思う。暗殺ではないか。誰しもそう思う。
ナワリヌイ氏の死亡報道を受けて欧州連合は、「我々はロシアの政治指導部と当局の責任を追及する」という声明を発表した。なにか意味でもあるのだろうか。
一方、フランスのマクロン大統領は、X(ツイッター)に「今日のロシアでは自由な精神は収容所に送られ、死刑にされる。怒りと憤りを覚える」と投稿した。なにか具体的な行動をするのだろうか。
本当のことは分からない。しかし暗殺されるだろうなと思われる人は確実に殺されている。
戦争はたった一人の頭の中から始まる。何十万、何百万の人々が殺されていった。以前はヒットラー、今はプーチン。敵対する者を抹殺する性癖を持っている。敵対する者に従う者もすべて殺すのかもしれない。どうして止められないのであろうかと思うが、誰にも止められないのである。
特高の警察官や憲兵が、戦後身を隠して生活していたという話がある。過去のことがバレないように、国が働く場を与えたようである。
中には自らの残虐行為を新聞に告白した人もいたが、拷問が忘れられない快感だったという人間もいたようだ。「アカは拷問して当然だ」という思い込みはなかなか消えることはなかったらしい。
権威主義が自信を持ちそうな世界になって来た。権威主義は独善である。独善がよくないことは歴史が再三伝えてきたことなのに、どうしてこういうことになるのだろうか。民主主義は手続きばかりでらちが明かないということなのだろうか。
しかしらちが明かない社会であっても、らちされる社会にしてはならない。
「君の心が戦争を起こす」。かつてそう語った学者がいた。
最近、戦争を起こす「君の心」が増えてきたように見える。(了)
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