2022年8月、東京・葛飾区の自宅で母親(当時92)の首をひもで絞め殺害したとして殺人の罪に問われている男の(61)の公判が始まったらしい。
被告人は、「母を殺したのは私です」と認めたが、「ですが、母から頼まれてしたことです」と述べた。
被告人は中学卒業後16歳で料理人になり、26歳の頃にはフランスで修業し、帰国後は本格的にフランス料理人として働いていた。
2010年前後、母親に直腸など複数のガンが見つかり、被告人はケアのためフルタイムで働くことができなくなる。
2014年には父親が亡くなり、母親との2人暮らしになった。 さらに2019年4月、母親が脳梗塞で入院。同年9月に退院したものの、前月に要介護5に認定されており、寝たきりで認知症も発症していた母親の介護に専念するため、仕事を辞めざるを得なかった。
それから訪問診療を行っていた医師が言う「壮絶な介護」が始まる。
食事、排泄ケア、たんの吸引、酸素吸入、尿カテーテル、血糖値測定、インスリン注射、入浴。
「お1人で要介護5の方をよく介助されていて、大変だなと思いました」と、医師は検察側の証人として述べている。
事件当日、「生きる苦しみ限界、母を送ります。母を残して死ぬことはできませんでした。これから私も死にます」 と、被告人はスマートフォンにメモを残す。
母親の首を絞めた後、大量の睡眠薬などを飲んだが一命は取りとめた。
検察側は冒頭陳述で、「被害者の年金を家賃や債務返済に使い生活が持たないことから、犯行を考えた」などと指摘した。
殺人か嘱託殺人か。 検察には、「母の頼みで殺した」という被告人の言葉は嘘っぱちとしか聞こえない。
司法試験に受かったくらいの人間に、この被告人の責任を問わせていいのだろうか。
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