1月に亡くなった知人のことを思い出す。現役のころは毎日のように仕事のことで電話をかけていた。忙しい時間帯、さぞかし迷惑なことであったろう。
いつでも電話で話ができる人は彼しかいなかった。ふと電話をしたくなる。彼は友人だったのではないだろうか。
いろいろ病気があるから気をつけている、とよく言っていたが、息子さんの、「冬の寒さに心臓が持たなかったようです」という言葉が気持ちに残る。
学生時代などから多少とも付き合いのあった友人や知人の死の連絡を受けたのは、6 1歳のときが最初だった。夜間大学の語学クラスで一緒だった同級生。
奥さんからの連絡であったが、3月にすい臓がんが判り、7月に亡くなったが、会社勤めの現役だったので、友人関係には葬儀の通知はしなかったという話。
連絡をもらったのは11月頃であった。
同年齢の知人の死ということにびっくりしたが、それだけのことで、特に亡くなった人への思いが浮かぶこともなかった。
結婚式に招待されたが、招待されたことが不思議であった。私はそんなに親しいとは思っていなかった。
何十年か経って彼からその理由を聞いた。「バイオリンを弾かせて恥をかかせたかった」。 披露宴でバイオリンを弾いてくれという依頼はなかった。若い頃はそういう友人関係もあるのか。
友達がいないことはいいことではないとされてきたが、ここ何年か「友達がいない」ということがひとつのライフスタイルとして、公然と言われるようになったと思う。
たくさんの友人に囲まれているような人が、「私には友人と呼べる人はひとりもいない」とか、「友人になるには長く付き合わないことだ」などという言葉を、周囲を気にすることもなく口にする。その言葉が世の中に認知されてきたような感がある。
ここ2、3年の間に、もともと少ない知人の全部の人が亡くなってしまった。
友達は本当にいらないのか、いた方がいいのか。
別に友達はいらないが、たまには気楽に電話で話ができるような人はいて欲しい。やはり友達は必要だ、ということか。
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