2週間ほど前に受けた健康診断の結果を聞き行った家内から、要再検査の項目が2つあることを医師から告げられた、というラインが入った。
ひとつは肺の影、もうひとつは心臓の肥大。
後日の検査を待っていては気持ちの負担になるからと、家内はその日の午後の検査を申し入れ、幸いCTなどの申し込みができた。
「肺のレントゲン検査で白い影があるんだって」との、家内からのラインがあってからすぐにネットで「白い影」について調べてみると、結節影とか浸潤影と言った言葉が飛び込んできた。
「白い影」。いろんな病気が考えられると載っているが、考えるのはがんばかり。
「白い影。がんの確率」として検索をする。直接答えているようなものはなかった。
家内は、「丸く薄い白で、1センチくらい」と言っていた。濃いのなら心配だが薄いのであればそんなに心配することもないか、と勝手に素人判断をしたが、すりガラス状結節という言葉もあった。
しかし薄いとしても影が映ってしまった以上、その正体をはっきりさせなければならないことになる。
再検査の結果、今度は精密検査を言われて、これからどこか分からぬ「大きな病院」に通うことになるだろう、と覚悟した。
最初のラインから6時間も過ぎた夕方5時過ぎ、家内からのラインに、「がんの疑いなし。心臓も大丈夫」とある。
やれやれと、結果が出るまでは我慢としていたオンザロックをとりあえず一杯飲みほした。
長い時間、いろいろ思いは巡ったが、結果がよかったからとにかくよかった。
医師はがんではないという。「何とも言えない」ではなく、「多分がんではないでしょう」でもなく、「がんではない」と明快に言ったらしい。
肺にモヤモヤとした影はあるががんではない。ではなんなのか。
家内が、「コロナに感染したことがある」と話すと、「コロナの傷かもしれない」と医者は言ったらしい。
そういえば私にも経験がある。50代の頃CT検査をした際に、「以前肺炎をやっていますね」と医師が言う。
まったく身に覚えはないのだが、40代の中ごろ、ひどい風邪をひいて高熱が続いたことがあった。その時医者に行かなかったが、肺炎を起こしていたのかもしれない。
歳をとったら健康診断はしないほうがいい、という医師がいる。私の友人にもそう考えて健診を受けない人がいる。
老後の生活が不自由になるような疾病は手当てした方がいいが、命に関わるような病気であれば知らないほうがいい。何も知らずに楽しく暮らした方がいい老後を送れる。確かにそういうことは言える。
健診によってがんの疑いがかけられ、それががんであれば早期発見か、進行がんか、ということになる。高齢者の場合、かなり進行した状態で発見されることが多い。
がんではなかったとしても、それが判明するまでの間、ひどい不安に襲われる。
健診など受けなければよかった、ということになる。
高齢ということは、結果オーライの人生であったということである。
若いバスガイドさんの、「オーライ、オーライ」という言葉を思い出していた。
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