人 生 相 談

つぶやき

 新聞の人生相談は滅多に読むことはない。以前、ある作家が回答者になっている人生相談を一度か二度斜め読みしたとき、あまりにいい加減に答えているので、以後読まないようにしている。

 この作家さんは4回離婚して5回結婚しているらしい。こういう場合、結婚でも離婚でも豊富な経験者ということになるから回答者に適任、ということなのだろうが、私の見る限り、そんじょそこらにいるただの女好きである。

 作家だからいい回答者になれるということはないし、人生経験豊富だからいい作家になれる訳でもない。昔から無頼漢は女にもてる。
 男女関係の人生相談などは女性でも、どこかのキャバレーやクラブのホステスを2、3年もやればできるものである。

 今日たまたまその人生相談欄を読んでしまった。こういう問題に対して回答者はどう答えるのだろうか、と少し気になったのである。
 相談のテーマは「東大生の娘が慢心」ということで、東大生になった娘さんが「私は下々の人とは違う」と言い放ったらしく、その慢心を正すため、以後必要な仕送りをやめようと思っているがどうしたらいいでしょうか、という相談内容である。父親は74歳という。

 新聞にまで相談する必要があるのだろうかと思うまでもなく下らない相談である。しかしこんな下らない相談に回答者はどう答えるのであろうか、と興味を持った。回答者はヤマザキマリという人で、末尾に漫画家との表示があった。私はこの漫画家を知らない。

 相談内容からすれば回答は2つしかない。仕送りをやめるか続けるかである。
 しかしヤマザキさんの回答はそのいずれでもない。書くのも面倒なので転載はしないが、一つだけ言えば、娘に下々という言葉を使わせる原因は父親が作った家庭そのものにある、と言っている。

 相談者からしてみれば、そんなことを聞きたいわけではない、ということになるが、そんな相談には答えようもない。
 人生相談における相談内容というのは言ってみればレベルが低い。とりとめもない相談が大半である。そんな相談にまともに答えたら回答者のレベルが問われてしまう。
 その点、回答者の皆さん利口である。答えを避ける。

 人生相談なる新聞欄は一つの低俗な読み物である。下らない相談は面白いし人の興味を惹く。しかし下らない相談に対してまともに回答をしたら読み物にならない。如何に面白い読み物にするか。なるべく下らない相談を集めて、何を言い出すか分からないような回答者に回答させる。要は場違いな回答が面白い。

 以前、結婚して36年間、妻の以外の女性と何人もつき合っていたという男の相談が掲載された。
 今つき合っている女性が、家族持ちの自分と関係を続けることに精神的にまいっているのでどうしたらいいか、という相談である。アホらしい。どこかのエロ週刊誌と同じである。回答者は自分も女性問題でさんざんマスコミに騒がれた男である。ここにその回答を書く気も起きない。

 私も歳をとり、いずれの回答者よりも年長になった。人間歳をとればそれなりの経験を否が応にもすることになり、世間への対応もそれなりに分かってくる。
 若い頃は接する人のほとんどが自分より年長であるから、何となく納得したような気になるが、これ以上経験する機会ももうないであろうという歳になれば、自分より若い人の人生論というものにはいろいろと評価も批判もできる。

 人生相談をして問題が解決することはない。人生相談をするときは問題が整理されていることであり、問題の大半は解決されている、という話もある。(了)

 

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