二つの着信拒否。

つぶやき

 二つの着信拒否に関する話。同時に掲載されたものではなく、全く別々にネットに掲載されたもの。二つを並べたら面白い、ということで引用したわけではない。

 一つは長年可愛がった孫からの電話を拒否する高齢男性の話。
 現在82歳の元大手商社マンだった男性は、「年金月20万円・貯金7,000万円」の、傍から見れば理想的な老後の生活をしていた。
 
 2年前、妻を亡くしてから、 当初は男性を気遣って頻繁に訪れていた長男夫婦と孫であったが、その態度は次第に「労わり」から「監視」へと変わっていったと男性は感じる。

 「遊びに来るたびに家中を検分されるんです。冷蔵庫の中を見ては『この賞味期限、昨日で切れてるよ。大丈夫なの?』と心配され、ゴミ出しのルールを間違えれば『近所に迷惑をかける前に施設を考えなきゃ』と急かされ……。

 決定打となったのは、大学を卒業したばかりの孫のひと言。男性が趣味の海外旅行を計画していると話した際、孫は真剣な顔でこう告げた。

 「じいじ、もうやめなよ。飛行機で倒れたらどうするの? そんなお金があるなら、元気なうちに老人ホームへの住み替えとか考えようよ。そのほうが安心だし、俺が手続きを全部やってあげるからさ」

 「親切心でからのことであることは判っている。けれど私の意志とは関係なく、『心配だから施設に入ってもらって安心したい』という本音が聞こえた気がする。私の人生なのに、家族が終わらせようとしている……。私のことを『何もできない老人』としか見ていない」

 それ以来、男性は孫からの着信を拒否し、家族との接触を極力断つようになった。

 もうひとつは娘に着信拒否された76歳の女性の話。
 夫に先立たれて7年。友人との外出も減り、いまの支えは「娘と月に数回話す時間」だけ。年金は月13万円ほど。贅沢はできなくても、暮らしは何とか回していけた。

 ある夜、女性は体調が悪く、心細さから娘に電話をかけた。ところが――。「おつなぎできません……」

 何度かけてもすぐ留守番電話に切り替わる。不審に思ってメッセージを送っても既読がつかない。そのとき初めて、「拒否されているのかもしれないと気づきました」

 「年金だけじゃ不安なのよ」
 「……またその話? 私だって余裕ないよ』
 娘さんは仕事と子育てで手一杯。そこに母の不安が重なると、会話はいつも同じ結末になる。

 「私からしたら“愚痴”じゃなくて、“助けて”だったんです。でも娘は、“重い”って顔をするようになって……」
 「それ以降、連絡はぱたりと減り、そして“拒否”が現実になったのです」

 愚痴の方がよかったのではないか。親が助けてと娘にすがったら娘もやりきれないだろう。歳取ったら男性のように、毅然とやせ我慢をした方がいい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました