事件のないところに事件をつくる

　こんなひどいことを日本の警察と検察と裁判所はするんだ、ということを長く記憶にとどめるべきである。裁判所を挙げたのは保釈を認めなかったからである。

　大川原化工機の社長ら3人に対するえん罪事件をめぐる民事裁判の2審で、東京高等裁判所は1審に続いて警視庁公安部と検察の捜査の違法性を認め、都と国にあわせて1億6600万円余りの賠償を命じる判決を言い渡した。

　誤認逮捕ということがあるが、この場合は警視庁公安部の陰謀による冤罪事件。事件のないところから事件を作っていった。最初から大川原化工機をターゲットにしていたという。警視庁公安部が、輸出規制法令に関し手柄を立てたかったということである。

　進行性胃がんの人の保釈を認めず、長期間にわたって勾留した。
　知れば知るほど警察、検察、裁判所というところは権力をかさに着てひどいことをする。

　さらにひどいのは、彼らは決して反省をしない。謝罪ということをしない。
　国の仕組みの中に、公務員が間違ったことをしても責任はない、という保険のような考え方が浸透しているらしい。

　違法捜査の指揮をした警察官や検事はそれぞれ定年になって退職しているという。退職金も手にして、庭いじりでもしていながら、「捜査に誤りはなかった」と記者の問いに答えるのであろう。

　冤罪をかけられたまま亡くなられた役員の方には本当に気の毒である。心からご冥福をお祈りする。