大地震と台風7号が気がかりである。戸建住宅は怖さを感じる。
仕事をやめた際、人との関係がなくなるとか、社会性を失うとか、いろいろ言われてきたが、最近そんなことは全く気にならなくなった。
不遜な言い方であるが、大した人間関係でも、大した社会性でもなかった、ということである。
ただ収入につながるための人間関係であり、社会関係ということであった。これは利害関係というものであって、人間としての関係ではない。
やはり儲けるというところには、人間の良さは表れない。そんな世界で知り合った関係などというものは、価値のないものである、と言い切って構わないと思う。
息子が9月から新しい職場に赴任する。
先日家内に、名刺ができたと送ってきた。京都の名門大学の広報部長という肩書であった。
大学卒業以来25年務めた会社に離職の挨拶をした際、著名な経営者としてよく知られている元グループCEOの人から、激励の言葉を掛けられようだ。
そのような内容の、息子から妻あてのメールを見たとき、私は意外に思った。
雲の上の人のような大会社のトップと、退社する社員が並んで写真に写っているのである。
息子もこの会社で精いっぱい活躍したのだろう。それを認める経営者のトップが親しく面談し、新しい仕事へのエールを送っている。こんなシーンは私の人生にはなかった。
その会社で誰もが認めるいい仕事をしていたから、見識が高く、社会性豊かな人に、大学への転職を誘われたのであろう。こんなことは私の人生にはなかった。
大きな会社だから、教育事業だから素晴らしいということではない。
しかし私が何十年生きてきた社会とは、明らかに違う社会が存在しているようだ。
私はどうやら、やりがいとか、人への尊敬というものを知らないまま、人生を終えることになりそうだ。
何事も慣れないことはしないほうがいい。今から上質な世界を求めても無理というものである。
これからも人間関係も持たず、社会性もない人生を全うするしかない。
それがあまりいいものではなさそうなことを、息子の転職で知らされた。(了)
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