ひょんなことから家をリフォームする話が持ち上がってしまった。
家をリフォームするのに〝ひょん〟はないのでは、と言われるかもしれないが、ひょんなのである。
ちょいと業者に声をかけたら話が進んでしまった。これからの人生を安全に楽しく美しくなどと言われると、それも大事かなと思ってしまったのである。
我が家は築12年経ったとき、間取り変更、内装、屋根外壁と大掛かりなリフォームをしたが、あれから同じような月日が流れたことになる。
今回は風呂場とまた屋根・外壁塗装である。
前回のときは私の仕事の最盛期であり、働けば何とかなるだろうと、あまりお金の心配をすることはなかったが今回は違う。
仕事をやめ年金暮らしである。余生期間を分母に、年金とわずかな貯えを分子にした割り算の生活を送っている。
手すり一本の値段にも、ピクッと目尻あたりが動くようになった。
いずれも思っていた金額より見積額は高い。やった方がいいか、まだ十分きれいではないか、迷いの日々が続く。
高度成長期の住宅ブームから起算すれば、日本の家屋の大半は50年を経過したことになる。
団塊の世代が30代で家を建てたとすれば、かなりの数が築40年は過ぎたことになる。
外国と違って木造家屋の耐用年数は短いとされていることから、日本の家屋はほとんどが建て替え期またはリフォームの時期を迎えたということになる。そこら中にリフォーム屋の看板を見るわけである。
今後家屋の老朽化はいろいろと社会問題となるであろう、というよりもう始まっているはずである。
高齢者と家のリフォーム。難しい問題である。独り住まいの知り合いの女性は、この家と一緒に朽ち果てていきます、と言う。それに合わせる言葉が見つからない。
リフォームの問題は戸建て住宅よりもマンションの方が深刻である。
建物の老朽は外観のみならず配管、つまり排水の問題が深刻なのである。人間でいう血管の病気と同じように下水があふれだし、逆流してしまうのである。
原因は経年劣化ということになるが、建築会社の責任が大きい。
マンション建築がブームとなったころ、建築業界はまだマンション建築のノウハウを確立していなかった。
悪く言えば手抜き工事がされているのである。建物の問題はこのことに起因することが多い。
マンション問題とは、杜撰な工事の欠陥処理と、そこに住む人たちの高齢とお金の問題である。
ひところマンションの建て替えが話題になったが、それは採算がとれる建て替えということであり、どこでもそれができるということではない。
いずれ人も住まない廃墟と化したマンションが社会のあちこちに墓石のように出現することになるのだろう。心ある建築家たちが昔から一番心配していたことである。
問題は我が家のリフォームどうするかであった。生活費を切り詰めて工事費を捻出する以外に方法はないことは明白である。
なによりこの家で生きていく人のことを第1に考えることが大切である。
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