ショートメールで孤独を知る

つぶやき

 年賀状じまいにしようと思っていたが、その葉書を出すのが面倒で、そのため今年もわずかであるが、正月になってから年賀状を送ることになった。今年は多くの企業が年賀状じまいをしたようである。

 ラインやショートメールによる年賀状の時代だそうである。試しにというわけではないが、以前、仕事で知り合った人にショートメールを送ってみた。

 「あけましておめでとう」という文面と共に、「新しい彼女はできましたか?」と書き添えた。

 この人がいくつなのか正確には知らないが、私と15歳くらいは差があるようだから、60歳になっているかもしれない。
 10年くらいの間に、1年に一度か二度ほど仕事で一緒になった人である。

 30代で離婚を経験している。親しかったわけでもなく、ここ何年も会っていないが、なんとか再婚をしたいと言っていたから、彼には悪いが半分からかいもあってメールを入れた。

 「新しい彼女は見つかりません。寂しい正月を過ごしています(泣)」という返信を送ってきた。
 
 冗談の好きな人で、こんなメールを返してくるくらいだから元気に暮らしていると思うが、少々心配な人である。
 町の不動産屋を渡り歩いてきたからあまり金もないだろう。離婚してから母親と二人暮らしと言っていたが、ひょっとしたら一人暮らしをしているかもしれない。

 人間、若い時は歳をとったときのことを考えないようにできている。病気もそうである。自分は病気にならないと思っている。それでいいのだが、確実に歳をとるし、歳と共に病気になる。
 
 中村吉右衛門の鬼平シリーズで、役宅の料理番のような役をしていた役者さんが昨年の8月に亡くなっていたそうである。84歳。一人住まいらしく、1週間ほどして発見されたらしい。
「蕎麦はもりに限る」と役の中で言っていたが、本当にそう思っているようだった。

 「石を投げれば坊主に当たる」という時代があったようだが、今は、「石を投げれば弁護士に当たる」などともいうようである。
 「石を投げれば孤独死にあたる」というのがこのところの実感である。

 「寂しい正月を過ごしています(泣)」というのは本当のことではないかと思えてきた。

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