煮物に特別好きなものはないが、イカと里芋の煮物は別格である。
ブリと大根というものもあるが、やはりそれよりイカと里芋の方がうまい、と言いたかったが、ブリと大根もうまい。
おいしいものに理屈をつけると支離滅裂な文章になってしまう。おいしいものはみんなおいしいのであるから、優劣をつけることなく、ただ黙って食べていればいいのである。
イカと里芋の煮物を食べたいと思っていたが、イカが捕れないということで我慢をしていた。昨晩やっと久しぶりに食べることができた。イカと里芋。絶妙のコンビネーションである。
食べ物に関して数少ない私のこだわりにカレーライスがある。カレーライスと言っても、昨日食べたカレーの残りを翌朝食べることである。
スパイスカレーなどにこだわっているのではなく、市販のルーでいい。
3つのこだわりがある。ご飯は皿ではなく茶碗によそう。スプーンではなくいつもの箸を使う。そして最も肝心なことは、味噌汁を添えることである。
カレーだから味噌汁は要らないということではない。絶対に味噌汁は添えなければいけない。それも大根の味噌汁にすることである。その味噌汁も「アッチッチ」というものでなければならない。
辛いカレーと熱い味噌汁。合うと言う方がおかしい、というのが常識的見解であるが、しかしこれが実によく合う。
とは言っても、口の中が辛さを感じているときに、熱い味噌汁が追い打ちをかけるのであるから、「これが実によく合う」となるまでには多少の年月を要する。
具はなぜ大根でなければならないか。これにたどり着くまでにさらに数年を要した。
たいしたこだわりではないではないか、という指摘は承知の上である。
身の丈にあったこだわりを持つことが人生において大切なことであるが、身の丈にあったこだわりしか持てない、というのも人生である。
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