一昨日の深夜、「認知症の第一人者が認知症になった」というテレビ番組を偶然見た。
認知症研究の第一人者と言われる精神科医師長谷川和夫氏が認知症を発症し、その生活を約1年間にわたって取材したものである。
2020年1月に放映されたNHKスペシャルという番組の再放送のようであるが、当時その番組を見た記憶はない。しかし認知症を専門とする医師が認知症になったという話はなんとなく覚えている。
特に構成を練ったというようなこともなく、淡々と長谷川医師とその家族の生活を追っていた。
長谷川医師も認知症という説明がなければ普通のように見受けられた。
認知症でも比較的進行の遅い病名のようである。
今まで痴呆と呼んでいた症状を、認知症という病名に変更することに努力されたらしい。
医者として認知症の患者を診ていた時は、デイサービスに参加することを患者や家族に積極的にすすめていたらしいが、自分がデイサービスに行くのは嫌なようであった。同感である。
奥さんの弾く悲愴が美しいと言っていた。
テレビ画面には長谷川医師がいらだったり、家族につらく当たるような言葉や仕草も一切なかった。
奥さんも夫を理解するというより、夫にも自分にも負担にならないような接し方をしている。いい家族であることが伝わってくる。
長谷川医師は1929年2月生まれ。亡くなられたのは2021年11月であるから、92歳9か月で亡くなったことになる。
認知症を発症されたのは2017年。この番組の撮影は2019年のことと思われる。
お元気なお姿のままこの番組は終わっている。認知症患者やその家族に希望を持たせるようである。
番組収録が終わって亡くなるまで約2年。どのような生活が長谷川医師にも家族にも待っていたのであろうか。
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