私は悪口ということに関してある信念を持っている。信念と言うべきなのか、心情というべきなのか良く分からないが、ともかく心に決めたことがある。
心に決めるのは故郷に残した愛しい人のことであるが、人の悪口に関してである。
私は「他人(ひと)の悪口を言わない人を信用しない」ことにしている。
人は他人と関われば悪口を言いたくなるものである。
人はいい人だけではない。悪い人もいれば、いいも悪いも併せた人もいる。やはり悪い人が惹き起こす悪は悪い。
その悪を口にしない、つまり人の悪口を言わない人は何を考えているのか分からない人であるということが言える。
人の悪口を言わない人はよほどの策士だと思うのである。策士とは古い言葉であるが、言い換えれば自分の立場を明確にしない人である。
いい人であることが多いが、人と関わらないときにいい人である。信用しても何も応えてくれない人である。
なぜ他人の悪口を言ってはいけないのか。他人の悪口を言うような人は誰のことでも悪口を言う人だ。他人の悪口を言うと結局自分のところに戻ってくる。というようなことが昔から言われている。
なんとなく人の悪口は言うもんじゃないというルールが存在しているが、なぜ人の悪口を言ってはいけないのか、ということに対する明快な答えは見当たらない。
他人の悪口を言えば自分のためにならない、という利己的なことになっている。
私の母なども「他人の悪口を言うもんじゃないよ。結局自分が損するんだよ」などとよく言っていた。
しかし母はよく人の悪口を言った。良く言えば正直な人。正確に言えば、なんの考えも持っていなかった人であった。
母は人の悪口を言いながら「私の腹の中は真っ白だ」とよく言ったものだ。悪意はないということを言いたかったのだろう。
そうであるなら悪意のない悪口というものがあることになるが、悪口に悪意を感じないのは仏様の寛容さをもってしても無理な話である。
他人の悪口を言うのは大人げないと思いつつ、今年の悪口初めに我慢ならない人を2人ほど。引退して演歌を歌うお相撲さん。実に下品である。サ行の息もれ発音をする深夜のNHKアナウンサー。とても聞きづらい。(了)
コメント
私も人の悪口を言わない人を信用しません。保身術にたけた人としか思えません。なにより会話が面白くない!水清くして魚住まずですね。
コメントありがとうございます。善良な人が被害を受けないように、悪い人の悪口は大いに言うべきです。