「今日も元気だ タバコがうまい」というフレーズは、ある漫画家のギャグかと思っていたら専売公社(現在のJT)のキャッチコピーであった。
「いこい」というタバコを発売する際、ポスターに掲載したものだった。
「あの人にもっと生きてほしかった」というテーマでタバコの害に対するエッセイのコンテストがあった。と言っても20年近く前のことである。
3位入賞者のエッセイが掲載されていた。
ある国立大学教育学部英文科で共に学び、共に小学校教諭に奉職した2人の教師のうちの女性教師が、男性の教師について書いたものである。
「英文科出て小学校では実力発揮できんね」ということですぐ意気投合した。
男性は一本吸いかけのタバコを灰皿にのせておいて次のタバコをとり出して火をつける程、大変なヘビースモーカーだったらしい。
その頃の週刊誌のタバコの広告に、「今日も元気だ タバコがうまい」
というのがあったが、男性は調子がいいといつもそのキャッチフレーズを口にしていた。
この二人が結婚したということはなく、男性はその後中学校の教師になったが、師弟関係のような友達関係が生涯続いたという。
男性が40代の後半に喉頭ガンを発症した。
全部切除するようにとの医師の勧めを断わり、一部切除にしてしまった。
声が出なくては生きていても仕方がないと言っていたという。
それから2年後大学病院へ再入院した。女性が見舞いに行ったとき別人かと思うほど男性の姿は変わりはてていた。その姿を見ているのがいたたまれなくて、何も語らず病室を飛び出してしまった。それが最後だった。享年五十才だったという。
コンテストに応募した全作品において、タバコをやめるように懇願したけれど無駄であった事がつづられていたらしい。
この女性も、今のようにタバコの害の情報が溢れていたならば、きっと彼も自覚してあんなにタバコを吸わなかったと思うし、私も注意懇願する機会が絶えずあったのだ。残念としか言いようがない。と述べている。
今はタバコの害の情報が溢れているのにタバコをやめられない人がいる。私も7年前まで吸っていた。
体調が悪く、医者に行ったら余命宣告を受けたという人が何人もいる。
ガンには初期症状がない。
「今日も元気だ タバコがうまい」と思っているときに、ガンは発症し進行していたことになる。
この怖さはガンになってみないと分からない。
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