「あってはならないもので、深くお詫びする」と木原防衛大臣は陳謝した。
自衛隊で、特定秘密、潜水手当、不正飲食、パワハラとかに関して、「不適切な取扱い」があって、200人を超える関係者が処分されたらしい。
先週の土曜日の夕刊に、「海上自衛隊トップ引責辞任へ」という記事があったが、このことに関連してのことであろう。こういうことであまり深く新聞を読む気になれない。
しかし他のことはともかく、国の安全保障に関わる特定秘密が、「不適切な取扱い」であったということは由々しき問題である。
潜水手当や不正飲食と一緒に頭を下げれば済むという問題ではない。
国民は前のことを忘れてしまうから、「あってはならないこと」がまた起きても、「あってはならないこと」としてまた頭を下げればそれで済んでしまう。最近どこの誰でも頭の下げ方がうまくなった。
高知県の小学生が授業中のプールで死亡した。小学校のプールの設備が故障しているため、中学校のプールを借りての水泳授業であった。
小学校のプールより水深が10センチほど深かったらしい。
関係者は「あってはならないことだ。悔やんでも悔やみきれない」と頭を下げた。全員ピッタリ息のあった見事な頭の下げ方であった。
このような事故があるたびに、「二度とこのようなことが起きないように」
とか、「再発防止に努める」という言葉が使われる。
亡くなった子供の親には何か慰めになるのだろうか。
二度と起こさないために、再発防止のために、我が子は犠牲になったようなものではないか。
「あってはならないこと」、「取り返しがつかないこと」が多い社会であるが、わが身に関係なければ忘れてしまうものである。
《習近平の思惑で、日本で「クスリを作れない」大惨事に…これから起こりうる「最悪の事態」》という週刊誌の記事があった。
日本の製薬会社は、クスリの原料となる有効成分の「原薬」の製造をほとんど中国に頼っているらしい。要は原料が「中国製」ということである。
まさか薬までがそんなことに。 低俗週刊誌の書くことだからいい加減な記事かもしれないと思ったが、本当なら確かに大惨事である。
中国は安い人件費で世界の経済を席巻した。今から30年くらい前、「中国に作らせればいくらでも安くできる」と、日本の仏具メーカーの社員が言っていたが、あらゆる製品に中国が絡むようになった。
中国人に作らせればいいんだと言っているうちに主従が逆転して、軒先を貸したのに母屋を取られてしまった。
国民の生命に関わる医薬品まで、中国に依存しなければ作ることのできない国になってしまったのである。金で買えればいいということではない。
中国は何をやるか分からない国である。日本人の健康に直結する抗菌薬や抗生物質すら国内で製造できなくなるかもしれません、と記事は結んでいる。
「あってはならないこと」が「あってもおかしくない」ことになっている。
「取り返しがつかないこと」になる前に手を打つべきだと思うが、日本の社会は事前に手を回すことは得意だが、事前に手を打つことには熱心ではない。
事前に手を打つことはいっぱいあると思うが、みんな気がつかないふりをしている。
だから「あってはならないこと」と言うのだろう。(了)
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