孫のいる朝食  

つぶやき

 孫がフランスから帰ってきた。なにより無事でよかった。
 海外旅行をしたことがないから、10何時間も空を飛んで、異国の地に行っいろいろ見て回って帰ってくるということが安全であるはずがないと思ってしまうのである。

 時差ボケをしていると思うが、朝から部活に出かけるという。そのついでに土産をけてくれた。マカロンが日本のものと違って本当においしい。

 孫はこの3月で17歳になった。私がちょうど60の時に生まれた子である
 この1年で高校生活が終わり来年は大学進学となる。大学の付属校であるから受験をしないで済むが、うまく望む学部に入ってくれれば思う。

 大学生活を有意義に過ごしてほしい。私には経験のないことだから分かりようもないが、やはりいい大学で優秀な友人を知り、知識を深めていくいうことは人生大事なことではないか。

 人生どう過ごすかは自分次第。それなりの能力があって、環境があるなら努力を惜しまず一流を目指すべきである。

 子供は高校受験、大学受験、就職試験、結婚相手。ひとつをクリアーするとすぐに新しいことに直面する。過ぎてしまえばみんな忘れてしまうものであるが、自分の子供の子育てが終わっても孫のことで同じ思いをする。

 自分の歳を思わず考えてしまうことがある。60歳の半ばまでは歳というものをあまり考えたことはなかった。室内楽の会に参加してもみんな私よりかなり年上の人ばかり。どこに行っても私が最年少であった。

 65歳から77歳まで実に早い。怖くなるように歳をとっていく。
 これからの10年がゆっくりと過ぎていくはずはなく、もし生きていたら87歳はあっという間に来てしまうのだろう。

 87歳まで多分生きられないと思うが、そうであれば後4,5年もしくは3,4年、ひょっとすると1,2年かもしれない。

 残る者に「好きなことをやって長生きしたのだから幸せな人だった」と思われる死に方がいい。今の時代80歳は長生きなのか、もうちょっと生きててもよかったのか微妙になってきた。

 昨日テレビを見ていたら鬼平犯科帳が放送されていた。最後の10分くらい見たが、鬼平の参謀役のような役柄で高橋悦史さんが出ていた。
 吉右衛門が若くっているから大分前のシリーズかもしれない。

 高橋悦史さんを見かけないなとずっと思っていたが、調べてみたら28年前に60歳で亡くなっていた。死因はすい臓がんとなっている。
 役者人生の絶頂期に亡くなったことになる。残念だったろうなと思う。

 指揮者の岩城宏之さんが亡くなった時、N響のピアニストであった本荘玲子さんは、「まだやりたいこともたくさんあったでしょうし」というインタビュアの言葉をさえぎって、「岩城さんほどやりたいことを全部やって死んでいった人はいません。気の毒とは思いません」というようなことを言っていた。
 本荘さんは岩城さんのことを嫌いで言っているのではない。本当に残念そうであった。

 人生これからの若者と高齢者が朝のご飯を共にすることになった。フランスのお父さんがおにぎりを作ってくれたがおいしくなかったという。
 孫が「おかずの味が濃いがどうしたの?」と家内に聞く。家内は、「あなたのためにわざわざ濃くしたの」孫に言う。久しぶりに楽しい朝の食卓となった。(了)

コメント

タイトルとURLをコピーしました