年寄りはどんどん歳をとっていくが子供たちも歳をとっていく。
周りに結婚しなかった娘さんたちを多く見かける。
息子たちもそうなのだろうが男の場合はあまり目立たない。親と一緒に住んでいないことが多いからかもしれない。
私たちの世代の子供達は50歳を過ぎている。未婚であればこれから結婚できるという歳でもない。
人生なるようになってしまう。親が亡くなれば一人になる。兄弟がいればまだいいが、いたとしても一緒に暮らせるわけでもない。
幼いころから知っている子たちである。将来どうするのだろうかと思う。
昨年の暮れ、家内の従弟はなるようになって孤独死してしまった。ずいぶん自分の将来を心配していたが、結局そういう以外にならなかった。
私は若い頃から今まで一人暮らしの経験がない。母や兄弟と暮らし、学校卒業とほぼ同時に結婚したので、ひとり暮らしの機会がなかった。
友人に今年76才になる男がいるが結婚の経験が無く、一人っ子である。若い頃から結婚する気はなかったらしい。
一度一人暮らしの寂しさというものを尋ねたことがあるが、全くそういうことは感じないと言う。
へーそういうものなのかと思ったが、そういうものらしい。孤独を感じたことはないというのである。一人暮らしの寂しさはそうでない人間の思い込みらしい。
孤独が苦にならないということならば、一人で生きていくことは快適なことなのかもしれない。
ひとり暮らしの問題は病気と死んだときのことになる。いつもこのことがクローズアップされるが、少し視点を変えればそれほどの問題だろうかということも言えなくもない。
意識のある病気であれば、近所の助けや救急車を呼んでなんとかなる。
もし死んでしまったとすればそれまでのことで後は行政がやってくれる。
それだけのことではないか。考えてみれば一人暮らしではなんともならないということはない。なんとでもなってしまう。今まで心配し過ぎていたのかもしれない。
友人は市のシルバー人材センターで駅前の自転車整理の仕事をしている。月に10日ほど働いて5万円ほどになるらしい。少ない年金に併せて充分食べていけるらしい。
病気にでもなって大きな出費が必要になったら生活保護を受けるという。
そうかそういう手があったか。一人暮らしの人はそれなりにしっかりと生活設計をしているものだと感心した。
なまじ家族に恵まれて、孤独を知らないまま歳をとってしまうと、人生の寂しさに耐えられない人間になってしまう。そういうことも言える。
彼とは何十年にもなる付き合いであるが、彼から連絡をもらったことは一度もない。
彼は人生を卓見しているような人物には見えないが、懐かしさのあまり他人と連絡を取ったり、人を恋しがるということもないようだ。
ひとりで生きてきたということはそういうことなのだろう。同情する必要はないのかもしれない。
しかしこの先緊急連絡先として病院か警察から電話があったら、私を親しい友人と思っていたということになるのだろうか。
それだけは勘弁してほしい。



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