新聞もこじつけをする

つぶやき

 高市自民党総裁は昨年の総裁選において、「総理大臣になっても靖国参拝は続ける」と言っていたが、今年の秋の例大祭での参拝は見送るらしい。
 総理大臣になることもちょっと判らなくなってきた。

 最近石橋湛山(いしばし・たんざん)の名を目にするようになったが、石破茂首相が国会演説などでたびたびその名をあげたことからのようだ。
 
 2、3日前の新聞で湛山の「靖国神社廃止の議 難きを忍んで敢て提言す」と題する提言を知った。昭和20年10月27日号東洋経済新報の「社論」として掲載されたものだという。

 石橋湛山は子供の頃から知っている名である。昭和31年に行われた自民党総裁選挙で岸信介を破り総裁に当選したが、その選挙に関して母や叔母たちから湛山の悪口をさんざん聞かされていたからである。

 なぜ母たちが湛山を知っていたのか。湛山の実父は日蓮宗身延山久遠寺の第81世法主(住職)である。創価学会は「ミノブ」を日蓮上人の教えを裏切った邪宗の一派と捉えていた。
 母たちの知識もすべて創価学会の座談会で吹き込まれたものであった。

 新聞はこの湛山の提言を引用しながら政治家の靖国参拝を批判するのだが、じっくりこの提言の原文を読んでみると湛山はそんなことは言っていないことが分かる。

 「靖国神社廃止」の提言と聞けばびっくりするが、靖国にはいろいろ問題があるから廃止すべきだ、というようなことを言っているわけではない。昭和20年のことである。
 
 結局湛山は先の戦争が、国を滅ぼした亡国の戦争なのだから、それを祀るというのもおかしな話だし、亡国の戦争に殉じた兵士たちも神として祀られることを望まないであろうと言っているのである。
 靖国を否定するわけではないが、もはやこの国情(昭和20年当時)では靖国存続の意味ないと言っているのである。
 
 しかし新聞は湛山の提言内容を基に、小泉首相の「日本の伝統、心の問題」。高市総裁の「戦没者慰霊の中心的な施設、平和のお社」といった靖国参拝の説明を、歴史に背くごまかしだと記事の結論にしている。

 そういうことも言えるが、湛山の提言からそれを結論とするには無理がある。新聞もこんなこじつけを書いてしまうものなのか。

 こんなブログで天皇や靖国のことをとやかく言うものではないらしいが、靖国にA級戦犯が祀られるようになって昭和天皇は参拝をしなくなった。平成天皇の今上天皇も参拝しない。

 面白い記述を見つけた。
 靖国神社は「英霊」を祀る場所であり、そして「英(ひい)でた霊」とは 「国家に公式的な貢献をなして死んだ者の霊」のことをさす。

 故東条英樹をはじめとするA級戦犯と(占領軍から)烙印を押された我が国の旧指導者たちに英霊の形容を冠するのは、歴史の連続性を保つという点で、是非とも必要なことと思われる。

 あの対米戦争はいわば「負けを覚悟の偉大な祖国防衛戦争」であり、そして東京裁判が「みせしめの政治芝居」であったことが歴然としている以上、A級戦犯と名付けられている(戦勝国によって殺害された)人々の霊(なるもの)が英霊でないはずがない」

 西部邁氏の著書での記述である。判りにくい部分もあるが、A級戦犯も英霊であるということに異論はない。

 ただ人が神になるということが分からない。

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