「15円50銭」という言葉があることを知らなかった。恥ずかしながら、と言うべきか。
この言葉を知ったのは、この7月の参院選挙における参政党の街頭演説会において、参政党に反対する人に対して支援者が、「15円50銭と言ってみろ」という動画がSNSで拡散したというネットの記事からである。
「15円50銭と言ってみろ」。今時のお金の単位ではない。どういうことなのか。
調べてみるとこの言葉は関東大震災の時、朝鮮人と日本人を判別するために使われた言葉であった。
10万人以上の死者・行方不明者を出した関東大震災の混乱の中で、「朝鮮人が火をつけた」「井戸に毒を投げ込んだ」「集団で襲ってくる」などのデマが拡散し、軍や自警団が無防備な朝鮮人を殺害する事件が各地で発生したと言われている。
「言われている」というのは、そんなことはなかった、と主張する人もいるからである。
しかし私の母から朝鮮人殺害の話は聞いたことがある。
朝鮮の言語は濁音で始まることがほとんどないから、朝鮮の人は濁音の発音が苦手である。そのことから朝鮮人であることを確認するために使われたということらしい。
「15円50銭」。確かに濁音だらけである。朝鮮の発音からすると「チュウコエンコチッセン」となるらしい。そんな発音をすればすぐに引き立てられ、殺害されたらしい。
なんともむごい話である。朝鮮人虐殺について政府は「正式な記録がないのでコメントは差し控える」ということになっている。
しかし「15円50銭」は、日本人である言語障害者まで朝鮮人として殺害したらしい。
「お前日本人か」「分かるはずだ、日本人なら」
よく耳にする言葉である。私もこの言葉を使うことがある。
参政党の「日本人ファースト」。そうあるべきかもしれない。
外国人排斥が人種差別になるのか正直なところよく分からないが、日本に来て勝手なことをするなら自国に帰ってくれと言いたい。
しかし私の世代が知らなかった「15円50銭」。「日本人ファースト」ということでこの言葉を認めるわけにはいかない。
参政党の支援者という人は多分私より若いと思うが、どこでこの言葉を知ったのか。
「15円50銭」の発音の仕方で人を殺していった時代があった。井戸に毒を入れた、集団で襲ってくるとなれば防御しなければならない。
「15円50銭」朝鮮人虐殺の慰霊碑に刻まれているのだろうか。
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