警視庁の鎌田徹郎副総監と最高検の小池隆公安部長、東京地検の市川宏次席検事が、大川原化工機冤罪事件で被疑者として亡くなられた同社元顧問の相嶋静夫さんの墓を訪れ遺族に謝罪した。
相嶋さんは胃がんを発症していたが、治療のための保釈請求を検察も取り上げず、裁判所も認めなかった。
相嶋さんの奥さんは東京拘置所の所長に次の手紙を送った。
「拘置所の中では、ほったらかしにされ、食事もできず、日々、衰弱し、立つこともできない状態です。このまま夫は、見殺しにされてしまうのかと、いてもたってもいられず、気が狂いそうです。どうか、私の大事な夫を助けてください」
もちろんなんの返事もない。
裁判所はなぜ謝罪しないのか。検証も行われていない。
「裁判官の独立」原則。裁判官は個別の事件について、独立して判断することが憲法で保障されている。この原則により裁判所として組織的に謝罪することは「個々の裁判官の判断を否定する」ことになりかねず、制度上難しいとされる。
裁判所の保釈却下判断については「個別の裁判官の判断であり、検証対象にしない」との方針を示した。
約20人の裁判官が関与していたにもかかわらず、再検証は行われていない。
裁判所は「証拠隠滅の恐れがある」として保釈を却下し続け、進行胃がんが判明した後もその姿勢を変えず、結果的に相嶋さんは治療機会を失い亡くなってしまった。
それでも、裁判所は「制度上の判断」であり「謝罪すべき過失ではない」とする立場を取っている。
制度としてはそうかもしれない。しかし世間の常識から外れている。どう見たって普通ではない。制度に従うより、制度がおかしいという視点を持たないのだろうか。
弁護士や遺族からは「裁判所の判断が命を奪ったにもかかわらず、責任を取らないのは制度の欠陥」とする声も上がっている。
聴く耳を持たない。裁判所とはそんなに偉いところなのだろうか。
コメント