夜間高校の同級生

つぶやき

 夜間高校の同級生が4年前に亡くなっていた。
 夜間高校から早稲田に入り、29歳で卒業して政治家の秘書を務め、政界入りを目指した。

 30台の初めに郷里の県議会議員になり、副議長も長く務めたらしい。
 50歳のとき衆議院選に挑戦したが落選。以後は著述業をしていたようだ。

 同窓会の会報に死亡時が2つ記載されている。どちらが正しいのか気になって同窓会名簿から電話をしてみた。

 奥さんが出られ、主人のことを思っていただいてありがとうございますと、丁寧な言葉で応対してくれた。

 悪性リンパ腫で亡くなったようだ。それまでいろいろながんを発症していたらしい。 

 彼とは夜間高校卒業以来同級会で1度くらい会っただけであるが、新聞やテレビで見かけることになった。

 40代くらいの時のことだと思うが、当時の朝日新聞日曜版の1面で彼の青春時代のことが詳しく掲載された。

 日曜版とはいえ、全国版の新聞になぜ地方議会の議員のことが取り上げられたのか。朝日新聞に知人がいたらしいが、それにしても不思議な記事であった。

 郷里から集団集職で上京し、池袋のビル管理会社に就職して、ネズミ捕り大会で優勝したことや、20歳近くになって夜間高校進学を決意する経緯、早稲田大学に合格してから卒業までの波乱の青春が書かれていた。

 県議会でのことは全く知らなかったが、衆議院選挙では日本新党から立候補し、細川護熙氏の応援を待っている姿がテレビに映っていたが、選挙後選挙違反で逮捕されてしまった。

 50代で政治の世界から離れたようだ。何冊かの政治とは関係のない本を出版している。

 アルファベットも書けなかった男が早稲田に入り政界を目指し、50代の初めにはその政治からも身を引いた。

 夜間高校の生徒会長を務め終った時、「全力を尽くして行動すると達成感ではなく虚脱感しかない」と言っていた彼を思い出している。

 どういう人生だったのか。

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