生きがいのある職業に就くべきだった

つぶやき

 今週火曜日の循環器科の診察で、家内が「先生の言葉に救われます」と話していた。

 私のこの女性医師に対する印象はそんなにいいものではない。早口で、事務的で、少し高慢ささえ感じる。

 しかし家内の気持ちに響く言葉であったのだから、患者の気持ちを慮った良い話し方であったのであろう。私がとやかく言うことではなかった。

 この何年かお医者さんにお目にかかることが多くなったが、そういうことからなのか職業というものを最近考える。

 私には若い頃からなにになろうという気構えは全くなかった。なにになろうと考えるほど頭はよくないし向上心もない。なんとか食べていかなくてはということしかなかった。

 しかし世の中には、「将来医者になろう」「政治家になろう」「弁護士になろう」という若者がいる。
 人の命を救う、日本を導く、冤罪から守るという高邁な目的を持って生きていこうとする人たちがいる。
 大事なことだと思う。

 つまらない話をすることになる。
 先日、以前経営していた会社の「清算結了の登記」をしていないことが気になり、手続きをすることにした。
 この登記をしないと解散の登記をしていても会社はまだ存在していることになる。
 
 司法書士に依頼すると報酬が10万円と言う。場合によっては15万くらいと言う。ぼったくりではないか。

 暇な身、自分でやるのもいいかと、法務局にいろいろ問い合わせると、素人ではハードルが高いと言う。

 まあしかし、申請書のサンプルはネットにある。要は25年も前に解散した会社が、なぜ今頃まで法律に定められている「清算結了の登記」をしなかったかということである。

 申請するには、官報公告、株主総会の開催、決算書の作成・承認などいろいろしなければならない準備がたくさんあった。 

 準備を進め、ネットの書式を参考に申請書一式を作成し、登録免許税3000円を貼って申請書を法務局に提出した。

 結果はパス。費用は3000円のみ。
 今まで「清算結了の登記」をしなかったことについては、何も問われることはなかった。

 その理由は、登記すべき事由の起算日である決算総会を今年の7月10日にしたことである。それから2週間内に申請すれば登記懈怠にならない。
 25年も放っておいたが、決算総会をその当時していなくてよかった。

 官報公告をしたことを証する書面は提出書類ではなかった。
 株主総会の開催、決算書の承認など間違いなくなされたことを証明する書類の提出義務も一切なかった。

 登記を終えて、なんのための登記なのかと思う。
 法務局は提出された書類に形式的な誤りがなければ受理し、登記を行う。事実はどうであったのかは一切問わないし、調査権限もない。

 法務局のスタンスは、「当局は法令に従い、申請書に基づいて登記を実行するだけ。申請書が実体が違うとすれば、それは会社法にあるいは刑法の問題で登記の問題ではない」

 登記を仕事としていながら登記の真実性に関与しない。
 
 司法書士も含めて、こういう手続きを自分の職業とすることはどういうことなのだろうか。悪いとか誤った職業と言うつもりは毛頭ない。
 空しさを感じるのが正常な人間だと思う。

 人間、人が救われたと思うような職業に就かなければいけないと、この歳になって深く思う。

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