今日は参議院選挙の公示日。2万円のばらまき、消費税減税の公約。
選挙だからおいしい話ばかりである。
西田昌司(にしだ しょうじ)という自民党の参議院議員は、前回の選挙で断トツのトップだったが今回は当落が微妙らしい。原因は「ひめゆりの塔」発言にあるといわれる。
「日本軍がどんどん入ってきて、ひめゆり隊が死ぬことになり、アメリカが入ってきて、沖縄が解放されたという文脈で書いてある。歴史を書き換えると、こういうことになってしまう」
20年以上前に、ひめゆりの塔関連の施設を視察したとき、その展示内容を見てそう理解し、そういう印象を受けた、ということらしい。
この発言は5月3日、那覇市で行われた憲法改正のシンポジウムで、西田議員の講演の中でなされたものである。
沖縄県民や野党の大きな批判を受けることになり、メディアも大きく取り上げた。
西田議員が理解したことはそれでいいのではないかと思ったから、正直なところこの発言がなぜ大きな批判を受けることになったのか分からなかった。
西田議員は「展示内容は歴史を書き換えたものだ」と言っていたのである。
批判は、「歴史を書き換えた」ということに対するものであった。あまり関心がなかったので気がつかなかった。
西田議員は、「沖縄戦は民間の方もたくさん犠牲になったが、アメリカの侵略から県民を助けるために日本軍が行ったもので、日本軍によってひめゆり学徒隊の悲劇が起きたということではない」と考えているらしい。
ではなぜ軍は沖縄の人の投降を許さなかったのか。なぜひめゆり学徒隊は自死を選ばねばならなかったのか。日本軍の指示はなかったのか。
謝罪の弁では 「なぜそういう戦争が起きたのかを、日本人自身が問いかけなければならないという文脈で発言した」と述べた。意味不明、責任逃れである。
ひめゆり学徒隊に関する展示に、西田議員が理解したようなことは文章としては一切書かれていなかったらしい。
そうであるならば、西田議員はなぜそのように理解し、そのような印象を持ったのであろうか。
展示品が暗黙のうちにそう語っている、ということである。西田議員の感性は正常なのである。書き替えたというのはいいがかりである。
シンポジウムでの発言をネットの動画で見ることができた。まことしやかにしっかりと喋っている。決して老人の妄言ではなかった。
なぜひめゆり学徒隊の悲劇が起きたのか。そのことに関しては一切触れていない。歴史が一部の人によって書き換えられている、というようなことを強調するだけである。
書き換えようとしているのは西田議員ではないだろうか。
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